著者
壹岐 伸弥 平田 康介 知花 朝恒 石垣 智也 尾川 達也 川口 琢也
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.23-30, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
31

要旨 本報告の目的は,高次脳機能障害者の主介護者が抱える介護負担感に対して,リハビリテーション専門職としての関わり方の違いがどのように影響するのかを事例を通して考察すること. 対象は脳塞栓症後の80 歳代の男性.日常生活は自立可能な心身機能であったが,高次脳機能障害により自宅生活での誤判断を認め,介護肯定感の高い主介護者である妻の支援に対して易怒的であった.妻の介護負担感は高い状態にあり,病前より夫は亭主関白であった.高次脳機能障害の機能改善を主とした関わり(機能的介入)と,主介護者である妻への介護教育を主とした介入(介護教育的介入)経過により示された介護負担感や介護肯定感の変化を考察した. 機能的介入では,介護負担感は軽減したが介護への肯定感が低下した.一方,介護教育的介入では,介護への肯定感が向上したが,介護負担感は再び増加した. 結論として,夫婦間で生じる介護負担感への介護教育は,元来の関係性に配慮した関わり方を選択しなければ,介護負担感を増加させてしまう可能性が示唆された.
著者
新田 麻美 西上 智彦 壹岐 伸弥 中川 幸太郎 石垣 智也 川口 琢也
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.68-74, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
25

要旨 慢性緊張型頭痛に対し,運動療法や徒手療法,あるいは患者教育との組み合わせが効果的であることが知られているが,患者特性を考慮した介入効果の報告は少ない.本報告では,徒手療法を主とした受動的な介入効果が不十分であったが,運動療法と患者教育を主とした能動的な介入が奏効した不安症状の強い慢性緊張型頭痛症例の考察を行い,患者特性に応じた理学療法介入の有効性を検討した.結果,頭痛に対する不安が強い患者には,患者教育により疼痛に対する捉え方や適切な症状理解と対処行動の形成を促し,自主練習として習慣化できるような運動を実施することが有効となり得る可能性が示唆された.