著者
武田 俊平 川合 宏彰 松沢 大樹
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.497-503, 1986-09-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
16
被引用文献数
2

神経学的に異常のなかった男192名, 女196名の脳血流量と脳血管抵抗をXe-133吸入法に依り測定し, 加齢との関係を調べた. 脳血流量は2コンパートメントモデルに於ける速い成分 (F1) とイニシャルスロープインデックス (ISI) で表わした. F1, ISI共に男では40歳台, 女では60歳台から有意に低下が始まった. 女では年齢に比例してF1, ISIの低下が高齢に到るまで続いたのに対し, 男では50歳台までは年齢に比例して低下したが, 60歳台以降プラトーになり, F1で40ml/100g脳組織/分, ISIで35付近に閾値の存在が示唆された. 脳血管抵抗は男女共50歳台から有意に増加し始め, 高齢に到るまで一貫して年齢に比例して増加した.