- 著者
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住吉 太幹
松井 三枝
川崎 康弘
田仲 耕大
倉知 正佳
- 出版者
- 富山大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2004
非定型抗精神病薬(AAPD)の統合失調症患者における認知機能各領域に対する効果の検討を行った。結果として、olanzapine(OLZ)あるいはperospirone単剤投与による治療を行った患者群では、注意機能やQOLを表す諸指標が改善した。5-HT_<1A>受容体への作用を示すziprasidone(AAPD)ならびにOLZの統合失調症患者における記憶の体制化に対する効果を検討した。方法として、語流暢性課題のひとつであるカテゴリー流暢性課題より得られる動物名から、多次元尺度法(Multidimensional Scaling, MDS)法により、長期意味記憶の体制化の度合いをcognitive mapへ変換することにより可視化し、各薬物による治療への切替えによる変化を検討した。結果として、各薬物による治療前には、MDS法による動物名の産出される順番に意味的なまとまりは認められなかった。一方、治療6週間後には、「野生性vs.家畜性」という意味的なまとまりが出現し、対象とした患者のQOLが有意に改善されることが見出された。OLZによる治療を受けた統合失調症患者における事象関連電位P300成分の変化を、Low Resolution Electromagnetic Tomography(LORETA)法を用いて解析した。その結果、健常者に認めるような側頭葉におけるP300発生源電流密度の左>右の側性が、OLZ投与前には認められなかったのが、治療後には明らかとなった。また、これらの患者において、言語学習記憶、QOLおよび精神病症状が治療後に改善した。以上の結果は、AAPDによる記憶機能の改善に、電気生理学的神経活動の脳画像的な変化が関与していることを初めて示すものである。