著者
逸見 竜生 淵田 仁 井田 尚 川村 文重 小嶋 竜寿 隠岐 さや香 小関 武史 飯田 賢穂 井上 櫻子 寺田 元一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

人文情報学分野の発達で古典籍デジタル化の急速に進んだ今世紀初頭より、『百科全書』本文批判研究は新たな段階に入っている。そのなかでも緻密な実証にもとづく本文批評校訂手法の確立は、多くがなお未解明である。本研究は、18世紀啓蒙思想、科学史、人文学領域の研究者が協力しあい、欧米・韓国の研究者の協力もえて、『百科全書』編集史のわが国における初の包括的な文献学的解明を目指す。具体的には、{1}典拠批判により本文資料層の〈生成〉を包括的に分析するとともに、{2}識別が可能となった異なる資料層の断片の、テクストにおける編集的な取り扱い方(〈転位〉)を多面的に追究し、{3}その編集作業の背後にある『百科全書』編集意図とその史的状況との関連を総合的に明らかにする。本研究ではこれまで、{1}『百科全書』項目本文の文献批判論、特に典拠となる先行文献資料の本文への累積的な取込の様態の組織的解明(初年度2017年開始)を経て、2018年度は特に{2}項目校編者による編集意図を再建し、源泉資料の再生ないし改修、転位の様態に新たな光をあて、各々の校編者の関心や意図を包括的に明らかにする編集史的考証を行った。そのために研究代表・分担者が月例で都内に集まり定期的な会合をもち、編集史観点からの調査についての研究ならびに報告会を行った。典拠調査も継続した。また国際的学際研究組織の構築の一環として、セミナー、ワークショップをフランス・韓国研究者と6回に渡って実施した。