著者
鷲見 洋一 井田 尚 井上 櫻子 真部 清孝 小嶋 竜寿 逸見 竜生 隠岐 さや香 小関 武史 寺田 元一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

『百科全書』に散在する典拠データへの関心が私たちの研究の出発点であった。この大事典は16世紀から18世紀にかけての複雑なテクスト間の照合関係の歴史に与しており、コピー・ペーストこそが項目著者の常套手段だった。私たちが開発するデータベースは『百科全書』に含まれる無数の典拠情報を検討する「典拠研究」を実践することで、この歴史に迫ろうとするものである。抽出するデータは「著者」と「タイトル」に関するもので、それらの多くが不完全な形で表記されているため、常時「正規化」という厄介な作業を強いられる。
著者
逸見 竜生 淵田 仁 井田 尚 川村 文重 小嶋 竜寿 隠岐 さや香 小関 武史 飯田 賢穂 井上 櫻子 寺田 元一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

人文情報学分野の発達で古典籍デジタル化の急速に進んだ今世紀初頭より、『百科全書』本文批判研究は新たな段階に入っている。そのなかでも緻密な実証にもとづく本文批評校訂手法の確立は、多くがなお未解明である。本研究は、18世紀啓蒙思想、科学史、人文学領域の研究者が協力しあい、欧米・韓国の研究者の協力もえて、『百科全書』編集史のわが国における初の包括的な文献学的解明を目指す。具体的には、{1}典拠批判により本文資料層の〈生成〉を包括的に分析するとともに、{2}識別が可能となった異なる資料層の断片の、テクストにおける編集的な取り扱い方(〈転位〉)を多面的に追究し、{3}その編集作業の背後にある『百科全書』編集意図とその史的状況との関連を総合的に明らかにする。本研究ではこれまで、{1}『百科全書』項目本文の文献批判論、特に典拠となる先行文献資料の本文への累積的な取込の様態の組織的解明(初年度2017年開始)を経て、2018年度は特に{2}項目校編者による編集意図を再建し、源泉資料の再生ないし改修、転位の様態に新たな光をあて、各々の校編者の関心や意図を包括的に明らかにする編集史的考証を行った。そのために研究代表・分担者が月例で都内に集まり定期的な会合をもち、編集史観点からの調査についての研究ならびに報告会を行った。典拠調査も継続した。また国際的学際研究組織の構築の一環として、セミナー、ワークショップをフランス・韓国研究者と6回に渡って実施した。
著者
高橋 博巳 安藤 隆穂 玉田 敦子 鷲見 洋一 伊東 貴之 川島 慶子 長尾 伸一 逸見 竜生 寺田 元一 渡辺 浩 堀田 誠三 渡辺 浩
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

当プロジェクトは、18世紀の公共知の東西比較を中心に、内外の研究者と共同研究を行ってきた。とくに朝鮮通信使を介しての日朝比較には、韓国の研究者と知見を共有し、当時の文芸共和国的な側面を解明することによって、これまで国ごとに分断されていた文学や思想の研究に新生面を開くことができた。これに比べると、清朝の文人や思想家とのより広範な知的交流の解明はなお道半ばと言わざるを得ず、より一層の深い解明が期待される。個別には伊東は『心身/身心と環境の哲学』、寺田・逸見らは『百科全書の時空 典拠・生成・時空』、長尾は『複数世界の思想史』において、従来の視点を大きく転換したり深化させて、新生面を開いている。
著者
寺田 元一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

初年度は7月の国際科学史学会で、「モンペリエ学派における生気論的生物観の形成と中国医学(フランス語)」という題目で報告し、その報告がArchives Internationales d'Histoire des Sciencesの最新号に掲載された。そこでは、1)中国医学(漢方を含む)のヨーロッパへの導入には二ルートがあり、中国医学は共通して西洋医学に器官の共感という問いを提起していたこと、2)中国医学の身体観の生気論的生理的機序(エコノミー・アニマル)観への同化が、被刺激性という問題系をめぐる論争を通じてのみでなく、脈学の生理学的「革命」を通じても実現されたこと、3)機械論に打ち勝つための身体観をメニュレが中国医学のうちに見出したこと、4)メニュレが中国医学の生理的機序観を同化して生気論の生理学的地平を拡大したことを明らかにした。第二年度はモンペリエ学派の脈学が生気論の成立の場として機能したことを明らかにした。論文Lasphygmologie montpellieraine : le role oublie du pouls dans l'emergence du vitalisme montpellierainによって、18世紀における中国医学と西洋医学との交流、モンペリエ学派の脈学の展開、生気論の成立という、相互に独立に研究されてきた対象について、始めて本格的に解明のメスを入れることができた。その結果、1)モンペリエ生気論が初期には未だアニミズムから自由でなかったが、関係的生理的機序観によってそれを乗り越えたこと、2)この関係的見方は、モンペリエ学派の脈学を狭い予診論的枠組みから広い生理学的地平へと転回させ、身体の表層と内部を結ぶ生理的機序の連関のうちに脈を位置づけ直すのに成功したこと、3)とりわけ、メニュレが中国医学の関係的見方を導入したことを通じてその転回は果たされ、身体全部分の競合・共鳴から生命が成立するという新たな生気論的見方に変わったことを、明らかにできた。
著者
寺田 元一
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.183-204, 1984-02-01

論文タイプ||論説
著者
寺田 元一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

『生理学要綱』の最大の典拠と推定されるハラー『生理学原論』をラテン語で読み、それ自体が、ハラーの生理学者としての研究成果であるだけでなく、ヨーロッパ中の生理学関係の古典ならびに最新著作を整理した総合的著作であること、その科学的かつジャーナリスト的活動は『百科全書補遺』の生理学項目執筆にも継承されたことを解明した。ディドロはそのような間テクスト的ハラー生理学を唯物論的に換骨奪胎することで『生理学要綱』を執筆した。そのテクスト生成の研究は今後の課題だが、それに必要なSP写本の暫定的校訂版を作成し、HPに掲載した。
著者
寺田 元一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

18世紀を中心とする創発論的自然観について、ボイル、ハラー、モンペリエ学派を中心にして考察を行い、次のような成果を上げることができた。ボイルは化学的場面における粒子論的物質理論、ハラーは生理学における階層的構造機能論的生物像、モンペリエ学派は、やはり生理学ではあるが、諸生命の生命という階層的生気論的生物像と、それぞれ相違しながらも、そこには次のような共通性が見られた。(1)全体を考えるに当たって基本単位として原子的なものを前提する、(2)全体を諸構造の構造、諸生命の生命といった階層的秩序において見る、(3)より高次の構造に対応してより高次の機能が存在するとする、(4)低次の構造にはなかった機能が高次の構造においてなぜ出現するのかを説明する必要を感じている、(5)その説明のために、あるときは創発、あるときは「隠れた力」、あるときは霊魂などに依拠する、(6)神秘的なものに助けを求めず、構造機能論を徹底的に貫こうとする場面で、創発の論理を豊かに展開することになる、以上の共通性である。彼らに共通する自然観は粒子論的階層的構造機能論的創発論的自然観(以下、創発論的自然観)と特徴づけることができる。17、8世紀の自然観については、宇宙全体を機械=時計とする機械論が流行し、それに生気論などが対抗したが、最終的に前者が勝利したと見られている。しかし、これでは創発論的自然観の存在が見えなくなってしまう。だが、実は近代科学=機械論・要素主義ではなかった。原子論の復興を契機として、上述したような創発論的自然観が登場し全体論的で複雑な見方を展開していった。言葉はなくても創発を問題とせざるをえないような自然観がこの時代に存在し発展し続け、近代科学を支える自然観の重要な一部を形成していたのである。それゆえ、粒子(原子)論もまた機械論ではない。粒子(原子)論からある種全体論的ともいえる自然観が展開されたからである。