著者
上中 理香子 川田 哲史 中村 嶺 山田 実季 佐山 皓一 宇野 彩 伊藤 秀彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.645-651, 2016-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
20

目的:ビグアナイド薬長期投与におけるビタミンB12(以下Vit B12)の低下とVit B12低下に対するメコバラミン補充療法の神経障害改善効果を調査する.方法:当院通院中の2型糖尿病患者で同薬5年以上投与群28名(登録時には全例メトホルミン(以下Met)を投与)と非投与群20名を対象に,横断研究として血中Vit B12・腱反射・振動覚を測定.Vit B12低下(≦298 pg/mL)を示す9例にはメコバラミン半年間補充前後の変化を前向きに評価した.結果:Met 1日平均投与量は950 mg(250~1500 mg).血中Vit B12濃度はMet 750 mg以下では対照と変わらないが1.5 gで有意に低値を示した.補充療法は,Vit B12低下9例中6例の振動覚や腱反射を改善させた.総括:Met 1日1.5 g以上の日本人2型糖尿病ではVit B12のスクリーニングが有用である.
著者
秋元 望 本多 健治 松本 恵理子 川田 哲史 右田 啓介 牛島 悠一 高野 行夫
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.478-484, 2010-09-25 (Released:2010-10-06)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:神経障害痛の発症機序にミクログリア細胞の関与が示唆されている.ミクログリア細胞の活性は抗生物質ミノサイクリンで抑制されることが報告されているので,神経障害痛発現に対するミノサイクリンの抑制効果を検討した.方法:神経障害痛モデルはマウスの坐骨神経を部分結紮し,作製した.痛みの強さはvon Frey フィラメント刺激に対する痛み様行動をスコア化し,評価した.脊髄グリア細胞の変化は,免疫組織染色法とウエスタンブロット法により検討した.結果:坐骨神経部分結紮後,結紮側で痛みスコアが上昇(アロディニア発現)し,脊髄ミクログリアの発現量が増加した.ミノサイクリンを結紮前(20 mg/kg)とその後7日間(20 mg/kg/日)の反復投与によりアロディニアの発症と脊髄ミクログリアの発現量が抑制された.ミノサイクリンを結紮3日後から7日間(20 mg/kg/日)の投与により,アロディニアの発現は一部抑制されたが,ミクログリアの発現量は抑制されなかった.結論:神経障害痛に対してミノサイクリンは有効であり,その作用機構に脊髄ミクログリア細胞の活性の抑制が一部関与することが示唆された.