著者
工藤 梨紗 沼田 士嗣 村田 和香
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.473-480, 2015-08-15

要旨:養護老人ホームへの入所によって役割を喪失し,身体機能およびADLの低下が認められた脳出血後遺症をもつ70歳代女性に,本人が重要と感じている作業に従事することを支援した.提供された作業の成功体験を基に,その他の作業へも挑戦し役割を獲得することで,介助を受ける生活から積極的な生活を送るといった習慣の変化が生じた.この背景には,入院している「夫への報告」という意味のある作業が大きな影響を与えていた.作業療法の経過を振り返り,回数制限のある外来作業療法において,役割を獲得し習慣変化に影響を与える,意味のある作業への支援の重要性を考察した.