- 著者
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西川 仁
日高 浩史
工藤 貴之
小林 俊光
- 出版者
- 日本鼻科学会
- 雑誌
- 日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.4, pp.481-488, 2012
- 被引用文献数
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2003年から2011年の9年間に入院加療を要した鼻出血症例203例の検討を行った。男女比は2:1で,50~70歳代に多く,また冬季から春季に多く,夏季に少ない傾向であった。出血部位は,部位不明47%,キーゼルバッハ24%,下鼻道および中鼻道が各々8%であった。初回時の止血方法は,ガーゼタンポン55%,電気焼灼29%,バルーンタンポン8%であった。再出血症例は46%に認められ,再出血なしの症例と比較して,キーゼルバッハ例や電気焼灼例の割合が有意に低く,出血部位不明例やガーゼタンポン例の割合が有意に高かった。基礎疾患および出血素因となる薬剤の服用は,再出血症例との関連がなかった。入院理由は,止血困難な絶対的入院適応が13%のみで,他は反復性のため24%,処置時意識障害22%,不安等の入院希望13%と経過観察目的の入院が多かった。平均入院期間は7.8日であり,再出血症例で10.4日,再出血なしの症例で5.8日であった。経過観察目的入院の症例でも再出血例が多く,また,再出血症例の全てが4日以内の再出血であり,入院経過観察期間として4日間(5日目の退院)が妥当と考えた。出血部位不明症例の初回治療はガーゼタンポン67%(再出血率74%),バルーンタンポン15%(再出血率50%)であったが,54%に入院中出血部位が判明できた。迅速に対応し出血部位を同定できることが入院加療の利点と考えた。<br>