著者
蜂須 貢 市丸 保幸
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.115, no.5, pp.271-279, 2000 (Released:2007-01-30)
参考文献数
50
被引用文献数
4 3

1999年5月選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)フルボキサミン(デプロメール®)が欧米よりも10年以上遅れて我が国で初めて上市された.フルボキサミンは「うつ病」を適応症として,1983年より世界約80か国で承認されており,また「強迫性障害(obsessive compulsive disorder: OCD)」の適応に対しては,1994年米国で承認され,現在約30か国で承認されている.本薬は「うつ病およびうつ状態」に対しては従来の三・四環系抗うつ薬と同等の効果を有しており,また強迫性障害への適応は日本で最初のものである.これらの効果はセロトニン神経から遊離されたセロトニンの選択的な再取り込み阻害作用に基づくと考えられている.フルボキサミンは従来の抗うつ薬が持つムスカリン受容体,アドレナリンα1受容体,ヒスタミンH1受容体の遮断作用を持たず,口渇,排尿障害,めまい,立ちくらみ,眠気などの副作用を示さないので,コンプライアンスが良く,うつ病や強迫性障害の持続療法や維持療法に優れている.
著者
市丸 保幸 青木 真由美 島 由季子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.3, pp.205-208, 2006-03-01
参考文献数
3

本総説では詳細な作用機序には触れず,現在抗うつ薬として臨床開発中のものを中心に,それぞれの作用機序から大まかに分類し,概説する.現在臨床的に使用可能な薬剤はすべてモノアミン(ノルエピネフリン,セロトニン,ドパミン)に何らかの形で影響を及ぼし,抗うつ効果を現すので,前半では三・四環系の作用機序を含め,モノアミン系に作用する候補化合物についてSSRI,SNRI,NDRI,SNDRI,5-HT受容体関連,MAO阻害薬,PDE阻害薬の順に開発品をまとめた.また,後半では既にSSRIと同等あるいはそれ以上の有効性・有用性が報告されているメラトニン系のagomelatineをはじめに,neurokinin(NK)関連,CRF関連,GPCR関連,その他いくつかの新しい作用機序を持つユニークな化合物をまとめた.<br>
著者
松山 賢治 山下 親正 野田 敦子 後藤 茂 野田 浩司 市丸 保幸 五味田 裕
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.4089-4095, 1984-10-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
29
被引用文献数
16 26 23

Isonicotinoyl-γ-aminobutyric acid (GABA) (IG) and nicotinoyl-GABA (NG), candidate prodrugs of GABA, were assessed by measuring various pharmacological responses such as anticonvulsant effect, prolongation of pentobarbital sleeping time and depressive effect on rearing or ambulation in general behavior, in relation to the GABA level in the mouse brain. The GABA level after the intraperitoneal administration of IG at a dose of 1000 mg/kg increased significantly from 2.30±0.02μmol/g wet wt. in the control to 2.93±0.05μmol/g wet wt., while NG caused only a slight increase in GABA level. IG showed a stronger anticonvulsant effect, greater prolongation of pentobarbital sleeping time and greater depressive effect on rearing in general behavior than NG did. The pharmacological effect of IG or NG corresponded well to the GABA level in the brain.