- 著者
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松本 充弘
難波 行臣
矢澤 浩治
市丸 直嗣
宮川 康
高原 史郎
奥山 明彦
金 眞理子
児島 康行
小角 幸人
京 昌弘
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.94, no.7, pp.685-688, 2003-11-20
症例は29歳女性,血液型はO型Rh(+).2000年にB型Rh(+)の父親をドナーとしてABO不適合移植術を受けた.移植後血清クレアチニン(s-Cr)値は1.1〜1.2mg/dlまで改善し第53病日に退院した.しかし,第460病日頃より徐々に腎機能悪化を認めたため,第520病日に腎生検術を施行し「間質性腎炎を伴う慢性移植腎症」と診断した.その後,免疫抑制療法を強化するも腎機能の改善は得られず,第630病日に再度腎生検を施行した.光顕所見では,同質性腎炎と腫大した尿細管上皮細胞を認めたため,BKウイルス腎症を疑った.抗SV40抗体による免疫染色およびPCR法によるBKウイルス血症を確認し,「BKウイルス腎症」と確定診断した.腎移植後,拒絶反応治療に抵抗性を示す症例に対しては,BKウイルス腎症の検索を行う必要がある.