- 著者
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市原 正智
- 出版者
- 中部大学生命健康科学研究所
- 雑誌
- 中部大学生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.65-70, 2008-03
地球環境への影響の少ないクリーンエネルギーとして、水素社会の実現を目指した技術開発が行われている。これまで水素は生体に対して、害も益もない不活性のガスとして考えられていた。しかし水素と生体は密接な関係がある。人の体の中では腸内細菌から多量の水素ガスが産生され、一部は肺から排出されているという事実はあまり知られていない。昨年日本医大・太田成男氏らの研究により、水素を抗酸化剤として用いる新規治療法が示された。水素を低濃度で吸入することで、活性酸素のうちヒドロキシラジカルが選択的に消去され、その結果循環遮断にともなう組織障害が抑えられると報告された。また水素を飽和させた水素水も、糖代謝改善など、活性酸素の発生に伴う組織障害を抑制することが示された。著者も中部大学において、水素ガス、水素水を用いて生活習慣病に対する予防という観点から研究を進めている。