著者
鈴木 創 中村 陶子 長谷川 亮 形山 憲誠 住友 秀孝 小林 重雄 布村 眞季 小泉 博史
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.329-334, 2008-05-28 (Released:2008-11-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

53歳,女性.10年間の維持透析歴あり.偶然,高レニン・高アルドステロン血症を指摘され入院.血漿アルドステロン濃度は40,080pg/mLと著明高値を認めた.右副腎腫瘍を認め各種内分泌的検査結果より,腎細動脈硬化によるレニン上昇とアルドステロン産生副腎腺腫による原発性アルドステロン症の合併と診断した.右副腎摘除術施行.術後,血漿アルドステロン濃度は低下した.慢性腎不全患者においては,時に著明な高アルドステロン血症を呈する例が散見される.腎不全の病態においては,各種のアルドステロン分泌抑制因子が減弱することから適切なネガティブフィードバック機構が作用せず,より高値をとりやすいと考えた.また維持透析患者ではアルドステロン測定系に干渉する物質が存在すると思われ,その評価は慎重に行う必要がある.
著者
宮城 調司 角南 由紀子 渋谷 淳 山崎 英樹 青木 由貴子 青柳 守男 樫山 麻子 寺師 聖吾 布村 眞季
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.555-560, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
15

症例は50歳男性.46歳時に2型糖尿病と診断されたが,既に多発合併症あり,その後も治療中断を繰り返し血糖コントロールは不良であった.眼の奥の痛みを主訴に眼科・耳鼻咽喉科を受診し,副鼻腔炎の診断にて抗菌薬を開始したが改善なく入院となった.副鼻腔壊死組織の病理所見にて骨髄浸潤を伴う鼻脳型ムーコル症と診断した.リポソーマルアムホテリシンB投与開始とともに,鼻咽喉ファイバースコープ下で排膿・壊死組織除去を繰り返し治癒した.ムーコル症は,特異的な症状・所見に乏しく,診断が困難である上,血栓形成を伴う血管侵襲を特徴とすることから経過は急速で,予後不良といわれている.治療は,外科的切除および適切な抗真菌薬投与である.本症例は,血糖コントロールおよび外科的処置により,比較的限局した局所の感染制御が得られ,良好な経過を辿ったと考えられた.ムーコル症の予防・治療には糖尿病の管理が重要である.
著者
久島 昭浩 高橋 雅哉 高橋 克之 蜂須賀 仁志 布村 眞季
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.2855-2859, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
11

症例は63歳,男性.吸収不良症候群の状態で入院となり,糞便と尿検査から播種性糞線虫症と診断した.糞線虫症治療薬であるIvermectin(ストロメクトール®)を投与したが,小腸穿孔による腹膜炎を発症し緊急開腹手術を施行した.糞線虫は熱帯・亜熱帯地域に広く分布する寄生虫で,日本では九州南部,沖縄に保虫者が多く存在している.成虫は十二指腸および空腸粘膜に寄生し,自家感染により感染が何十年も持続する.過剰感染を起こすと腸管の固有筋層に虫体が浸潤し吸収不良症候群やイレウス,小腸壊死を引き起こすことがある.九州,沖縄に居住歴のある原因不明の腹膜炎や腸管壊死,イレウスの患者の診察に際しては糞線虫症を鑑別する必要がある.