著者
布袋 敏博
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本、韓国、米国各地に所蔵されている新聞・雑誌等の調査、資料の読み合わせ・分析を行なったが、新聞は分量が多く、すべてを終えることはできなかったので、課題として引き続き調査・分析作業を行なう。それにより、近代文学語として、朝鮮語が成立してゆく過程を明らかにできるであろうと思われる。また、李光洙の研究が進み、文体創出や時代意識で傑出していたことが確認されたが、彼一人に帰することはできない。同時代の留学生南宮璧や金東仁など、留学生全体をより深く詳しく考察する必要性を指摘した。また、2度の国際シンポジウムを開催したが、これにより朝鮮人留学生が、朝鮮において近代文学形成に果たした役割が明らかになった。
著者
大村 益夫 波多野 節子 白川 豊 芹川 哲世 藤石 貴代 熊木 勉 布袋 敏博
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

3年間にわたる調査と研究を以下のような形でまとめた。1.成果報告論文集各分担者がこれまで行なってきた研究・調査活動をまとめて論文を執筆し、成果報告論文集を作成した。報告炉論文集の目次は、以下の通りである。(1)洪命憙が東京で通った二つの学校-東洋商業学校と大成中学-:波田野節子(2)1920年代廉想渉小説と日本-再渡日前の4篇を中心に:白川豊(3)田栄澤論-解放後作品と基督教-:芹川哲世(4)京城帝国大学と朝鮮人文学者-資料の整理を中心に-:布袋敏博(5)李箱の小説における「わたし」-日本語遺稿と関連して-:藤石貴代(6)兪鎮午の「金講師とT教授」について:白川春子(7)尹東柱の文学に対する評価をめぐって-1940年代における抒情詩からの視角-:熊木勉(8)金昌傑研究試論:大村益夫2.『毎日新報文学関係記事索引(1939.1〜1945.12)』『毎日新報』は、姉妹紙の日本語新聞『京城日報』とともに、植民地末期文学の研究において不可欠の一次資料である。同紙のマイクロフイルムをもとにして『毎日新報文学関係記事索引(1939.1〜1945.12)』を作成した。これにより、植民地末期の朝鮮文壇の動き、朝鮮人文学者たちの行動が相当に明らかになった。朝鮮人作家および作品の個別研究を集積することによって朝鮮近代文学の日本との関連様相を明らかにしていくという当初の目的は、ある程度まで達成しえたといえる。しかしながら、扱うべき作家はこの他にも数多く残っている。本研究では、朝鮮人文学者たちの日本における足跡調査と資料収集を行なってきたが、当時の資料は日ごと失われつつあり、また当時を知る生証人たちも年を追っていなくなっていっている。研究の継続が必要かっ急務である。