著者
平出 貴乗 米山 文彦 落合 秀人 中澤 秀雄 林 英司 北村 宏
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.399-404, 2008 (Released:2008-08-05)
参考文献数
16
被引用文献数
3

2000年12月から2006年9月までに魚骨による消化管穿孔を8例経験したので臨床的検討を加え報告する.年齢は59歳から89歳で男性7例,女性1例.穿孔部位は回腸4例,横行結腸2例,S状結腸2例であり,全症例に対して手術を行なった.慢性炎症型4症例のうち穿孔部不明症例が3例存在したが,魚骨の確実な摘出により治癒することが確認された.MDCT導入以前では術前に石灰化も含め病変を指摘できた症例は40%であったが,導入以降は魚骨同定率,術前診断率ともに100%でありその有用性が確認された.魚骨穿孔は,詳細な病歴聴取およびMDCTの施行により術前の確定診断が比較的容易となったが,魚骨遺残により再手術が必要となる症例もあり,急性腹症の鑑別診断として念頭におかなければならない疾患の一つであると考えられた.