著者
平出 貴乗 米山 文彦 落合 秀人 中澤 秀雄 林 英司 北村 宏
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.399-404, 2008 (Released:2008-08-05)
参考文献数
16
被引用文献数
3

2000年12月から2006年9月までに魚骨による消化管穿孔を8例経験したので臨床的検討を加え報告する.年齢は59歳から89歳で男性7例,女性1例.穿孔部位は回腸4例,横行結腸2例,S状結腸2例であり,全症例に対して手術を行なった.慢性炎症型4症例のうち穿孔部不明症例が3例存在したが,魚骨の確実な摘出により治癒することが確認された.MDCT導入以前では術前に石灰化も含め病変を指摘できた症例は40%であったが,導入以降は魚骨同定率,術前診断率ともに100%でありその有用性が確認された.魚骨穿孔は,詳細な病歴聴取およびMDCTの施行により術前の確定診断が比較的容易となったが,魚骨遺残により再手術が必要となる症例もあり,急性腹症の鑑別診断として念頭におかなければならない疾患の一つであると考えられた.
著者
中澤 秀雄 成 元哲 樋口 直人 角 一典 水澤 弘光
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.4, pp.142-157, 1998-10-05

1990年代における環境運動の「再生」を理解するためには、1960〜70年代以降の住民運動の軌跡を振り返り、マクロな社会的諸条件との関連で運動の盛衰を把握する視点が必要不可欠である。戦後日本の住民運動を対象にした事例研究の蓄積はかなりの量に達しているが、データソース確保の困難や方法論的不備などにより、個別の運動を越えた、運動インダストリーの盛衰を取り扱った研究は十分に行われてこなかった。また、これまで住民運動の盛衰は主に高度経済成長による「構造的ストレーン」によって説明されてきたが、それだけでは低成長期以降の運動発生や盛衰の地域的多様性を説明することができない。我々はこうした研究上の空白を埋めるべく、1968-82年における地域開発や環境関連の抗議イベントをコード化しデータベースを整備した。このデータベースを利用し、全国レベルにおける抗議サイクル形成の論理と、抗議水準の地域的・時期的な変動を、「構造的ストレーン」変数と「政治的機会構造」変数との比較により検討した。その結果、次の2点が明らかになった。(1)住民運動の抗議サイクル形成にあたっては、構造的ストレーンより政治的機会構造の影響の方が強い。(2)地域ごとの相違をみると、政治的基盤が安定していない保守地域で抗議水準が最も高くなる。これらの知見は90年代の運動の「再生」を理解するうえで、重要な手がかりを提供する。
著者
加藤 眞義 舩橋 晴俊 正村 俊之 田中 重好 山下 祐介 矢澤 修次郎 原口 弥生 中澤 秀雄 奥野 卓司 荻野 昌弘 小松 丈晃 松本 三和夫 内田 龍史 浅川 達人 高木 竜輔 阿部 晃士 髙橋 準 後藤 範章 山本 薫子 大門 信也 平井 太郎 岩井 紀子 金菱 清
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、東日本大震災のもたらす広範かつ複合的な被害の実態を明らかにし、そこからの復興の道筋をさぐるための総合的な社会学的研究をおこなうための、プラットフォームを構築することである。そのために、(1)理論班、(2)避難住民班、(3)復興班、(4)防災班、(5)エネルギー班、(6)データベース班を設け、「震災問題情報連絡会」および年次報告書『災後の社会学』等による情報交換を行った。
著者
中澤 秀雄
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

研究代表者は平成12年度から13年度にかけて、「リスク社会における情報空間と社会的亀裂に関する比較都市研究」というタイトルで科学研究費を受けているが(課題番号13710119)、平成15年度から開始された本課題はその継続という性格を持っており、本年度が最終年度となる。本課題による成果は3点に要約できる。第1に新潟県巻町・柏崎市を対象とした地域社会研究が終了したことである。毎年1回の現地調査によって継続的に情勢をフォローしてきたが、平成15年度末に巻町民を対象としたサーベイ調査を実施した。これらのデータをもとに、地域情報空間の配置に関する比較研究の成果として、『住民投票とローカルレジーム』(ハーベスト社)を世に問うた(2005年11月)。これが最終年度にふさわしい成果としてまず挙げられる。第2に、メディア・社会情報研究と地域社会学を結びつけ、情報空間の地域間格差に関して理論的彫琢を行い、その成果を『講座地域社会学』(東信堂,2006年1月刊行予定)および『越境する都市とガバナンス』(法政大学出版局,2006年1月刊行予定)に執筆した論文に盛り込んだ。第3に、当初構想していた研究課題からさらに進んで、北海道野幌におけるまちづくり活動を暫定的に総括する論文(中澤・大國 2005)やサステナブル都市論を日本に適用する論文(中澤 2004)、地域間比較の視点のもとに持続可能な地域自治を探求する仕事(中澤 2005)も積み重ねてきた。この3年間において発表した著書・論文は(共著を含め)合計13編にのぼり、与えられた研究費に比して十分効果的に、研究課題の目的を達成したと考えている。以上の成果から明確化してきた今後の方向性は2つある。A.東京圏内、あるいは東京圏と非東京圏の亀裂の状況を、より総合的に明らかにすること。B.その亀裂状況をこえて、持続可能な自治のモデル(ビジネスモデルならぬガバナンスモデル)を探求していくこと。とくに後背地としての農村をプロデュースしながら存立基盤を作っていけるような都市のあり方を理論化し、同時に説得的な具体例を構築していくこと、である。
著者
中澤 秀雄 嶋崎 尚子 玉野 和志 西城戸 誠 島西 智輝 木村 至聖 大國 充彦 澤口 恵一 新藤 慶 井上 博登 山本 薫子
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

世界(記憶)遺産という側面から、あるいはポスト3.11のエネルギー政策という観点から「石炭ルネサンス」と言うべき状況が生まれているが、これを先取りして我々産炭地研究会は、「炭鉱の普遍性に基づく産炭地研究・実践の国際的なネットワーキング」を展望しながらも、まずは資料の収集整理という基礎固め作業を継続してきた。夕張・釧路の個人宅から炭鉱関係資料をサルベージして整理目録化を進行させていることを筆頭に、多数の資料整理・目録化に成功した。ネットワーキングの面では、全国の博物館・元炭鉱マン・NPO等と関係を確立し、主要な全産炭地を訪問して資料整理・研究の面でも協働した。
著者
尾形 隆彰 犬塚 先 桜井 厚 片桐 雅隆 中澤 秀雄 米村 千代 渋谷 望 出口 泰靖
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

千葉地域における新しい文化の創出や、海という自然環境を生かしたレジャー、ディズニーという人気観光スポットを生かした地域づくり、また都心からの地の利を生かした移住による「田舎暮らし」といった可能性を明らかにした。またそうした地域に住む住民の意識や行動の変化を捉えることにも成功した。