著者
古川 壮一 平山 悟 森永 康
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.228-238, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
157
被引用文献数
1 2

日本の伝統的発酵食品に関与する微生物は,麹菌,乳酸菌,酵母,酢酸菌などであり,これらの微生物は古くから生育環境が類似しているため共に協力しながら,共存・共生する環境で利用されてきました。こうした微生物内の相互作用が,発酵プロセスの安定化に重要な役割を果たしてきたと思われます。ここでは伝統的発酵食品として,清酒・ワイン・ビール・蒸留酒・酢・醤油・味噌・乳製品などに関わる微生物の共存と共生の意義について解説して頂きました。
著者
古川 壮一 平山 悟 森永 康
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.228-238, 2014-04

日本の伝統的発酵食品に関与する微生物は,麹菌,乳酸菌,酵母,酢酸菌などであり,これらの微生物は古くから生育環境が類似しているため共に協力しながら,共存・共生する環境で利用されてきました。こうした微生物内の相互作用が,発酵プロセスの安定化に重要な役割を果たしてきたと思われます。ここでは伝統的発酵食品として,清酒・ワイン・ビール・蒸留酒・酢・醤油・味噌・乳製品などに関わる微生物の共存と共生の意義について解説して頂きました。
著者
森永 康 平山 悟 古川 壮一
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.101-108, 2015-06-29 (Released:2016-07-29)
参考文献数
30

伝統発酵食品福山酢は、その発酵過程に、麹菌、酵母、乳酸菌、酢酸菌が関与し、糖化、嫌気的アルコール発酵と好気的酢酸発酵が自然に進行する。それは東アジアで生まれた最も原始的な発酵様式であり、自然環境で起こっている炭水化物代謝を模したとも言えるものである。我々は、福山酢の製造工程から分離した乳酸菌と酵母及び酢酸菌の異種間相互作用を研究することを目的として、共培養系でのバイオフィルム形成について検討してきた。その結果、乳酸菌と酵母が共存すると細胞同士の接着により両細胞が組み込まれた特異な複合バイオフィルムが培養容器底部の固液界面に形成されることや、乳酸菌と酢酸菌が共存すると培養液の気液界面に形成される酢酸菌のバイオフィルム(ペリクル)が顕著に増加することを見出した。さらに詳細に相互作用を調べてみると、これら3種の発酵微生物の共存系は、それぞれの菌が機能分担することで、栄養欠乏や酸化ストレス、外敵侵入などのさまざまな生存リスクに対応可能なきわめて巧妙な共生系であることが分かってきた。本稿では、こうした伝統発酵に見出した発酵微生物の共生系の特徴について、我々の成果を中心に紹介し、そこからうかがい知ることができる発酵微生物の進化についても論じてみたい。