- 著者
-
平岡 佐規子
加藤 順
岡田 裕之
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.115, no.3, pp.262-271, 2018-03-10 (Released:2018-03-12)
- 参考文献数
- 53
炎症性腸疾患は慢性疾患であり,生涯を通じ疾患活動性の評価が必要である.腸管炎症の評価の基準は内視鏡検査であるが,頻回の施行は避けたく,代替となるバイオマーカーが必須である.最近本邦でも便中カルプロテクチン(Fcal)が保険収載され,便中マーカーが注目されている.Fcalは欧米で広く利用されており,炎症性腸疾患の疾患活動性との関連,機能性疾患との鑑別に関しエビデンスも豊富である.一方,本邦から発信した免疫学的便潜血検査は,特に潰瘍性大腸炎の粘膜治癒予測においてはFcalより優れている.その他,血液マーカーでは,CRPなどの有用性が報告されているが,新規バイオマーカーの開発も期待される.