著者
平木 いくみ 外川 拓
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.35-46, 2019-03-29 (Released:2019-03-29)
参考文献数
28

身体化認知理論への注目により,感覚が消費者行動に及ぼすさまざまな影響が明らかになっている。本稿では,製品の希少性知覚に対して視覚的重さが及ぼす影響を検討する。製品パッケージのカラー(実験1)と製品画像の掲載位置(実験2)を操作した2つの実験を通して,視覚的重さの経験は,当該製品に対する希少性知覚へ影響を及ぼすことが明らかにされた。さらに,視覚的重さが希少性知覚へ及ぼす影響は,製品間の陳列スペースが広いときのみ生じることも示された。希少性は消費者を製品に惹きつける強力な要因である。重さという感覚経験と希少性知覚との関係を明らかにした本研究は,製品開発に携わるマーケターや店頭マーケティングに携わる小売業者に対して多くの示唆を提供している。
著者
石井 裕明 平木 いくみ
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.52-71, 2016-03-31 (Released:2020-04-21)
参考文献数
69
被引用文献数
2 2

近年,感覚マーケティングに大きな注目が集まっている。特に小売店舗においては,市場環境の変化により,感覚マーケティングに寄せられる期待が高まっている。こうした中,店舗空間における感覚マーケティングを取り上げ,その影響の大きさと実務への適用可能性を検討することには大きな意義があるだろう。本稿では,まず,感覚マーケティングの議論の特徴に触れ,研究動向を感覚ごとに紹介することで,店舗空間における感覚マーケティングの概要を明らかにする。その後,感覚刺激間の適合性,店舗・製品特性と感覚刺激の適合性,消費者特性と感覚刺激の適合性の視点から先行研究を整理し,実務における活用方針を検討する。さらに,店舗空間において感覚マーケティングを展開する際の検討課題を指摘し,今後の研究上の課題について言及していく。