著者
五十嵐 八枝子 五十嵐 恒夫 大丸 裕武 山田 治 宮城 豊彦 松下 勝秀 平松 和彦
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.89-105, 1993-05-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
38
被引用文献数
31 37

北海道北部の剣淵盆地と中央部富良野盆地で14C年代の測定と花粉分析により約32,000年間の植生変遷史を復元した. 25,000~32,000yrs BPはエゾマツ/アカエゾマツを主とし, グイマツを混じえたタイガ, 16,000~25,000yrs BP (極相期) は現在のサハリン北部に見られるステップとグイマツ, ハイマツを主とする疎林 (北部) およびグイマツ, ハイマツを主とするタイガ (中央部)が発達した. 12,000~16,000yrs BPは北部でグイマツが衰え, エゾマツ/アカエゾマツとカバノキを主とする森林が発達した. 10,000~12,000yrs BPに著しい寒さの戻り (剣淵亜氷期) があり, グイマツは極相期の規模に回復した. 8,000~10,000yrs BPにグイマツは絶滅し, 8,000yrs BPにコナラ属が急増して現在の森林が形成された.