著者
平松 有 矢野 圭輔 湯通堂 和樹 今中 大 佃屋 剛 米澤 大 植屋 奈美 垣花 泰之
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.167-169, 2016-03-01 (Released:2016-03-18)
参考文献数
4
被引用文献数
1

症例は60歳,男性。畑仕事中に竹箒で左前腕外側を受傷した。受傷9日後より左上肢の筋緊張,頸部後屈,開口障害が出現し,翌日当院へ紹介となった。破傷風と診断し,抗菌薬や破傷風トキソイドワクチン,および破傷風ヒト免疫グロブリン製剤の投与を行った。受傷部は既に痂皮化し,軽度の発赤,腫脹,熱感がみられるのみであったが,腫脹が続いたため第4病日に切開したところ,径10 mm×3 mmの竹片が摘出された。竹片の嫌気性培養にてClostridium tetaniが分離された。鎮静下に循環,呼吸器管理を行い,第55病日にリハビリテーション目的で転院した。Clostridium tetaniが分離培養されることは稀とされているが,今回抗菌薬投与中にもかかわらず,異物より分離培養されており,摘出できていなければ症状が遷延や再増悪していた可能性がある。破傷風を疑った場合には,創部での異物遺残の可能性を考え,積極的なデブリードマンと洗浄を行うことが望ましいことを再認識させられた。
著者
山本 雄貴 松井 尚子 平松 有 宮崎 由道 野寺 裕之 和泉 唯信 髙嶋 博 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000976, (Released:2017-01-28)
参考文献数
23
被引用文献数
2 6

症例は60歳男性.小児期より運動後の筋疲労感や褐色尿を自覚したが症状は軽微であった.45歳頃より両下肢遠位部優位の筋萎縮,感覚障害が進行した.神経伝導検査で軸索型末梢神経障害を呈し,シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease; CMT)が疑われた.55歳より横紋筋融解症を繰り返すようになり,血清アシルカルニチン分析と遺伝子検査から三頭酵素欠損症と診断した.三頭酵素欠損症は先天性脂質代謝異常症の稀な一型であるが,末梢神経障害を合併してCMTに類似した臨床所見を呈しうる.筋症状を伴う進行性の末梢神経障害をみた場合,積極的に本疾患を疑って精査すべきである.