- 著者
-
平田 直之
- 出版者
- 日本臨床麻酔学会
- 雑誌
- 日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.3, pp.352-358, 2016-05-14 (Released:2016-07-07)
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
-
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デスフルランは,血液/ガス分配係数が従来の吸入麻酔薬の中で最も低く,速やかな麻酔作用の発現と早期の覚醒,回復が可能であり,本邦でも広く用いられるようになってきた.高齢患者,肥満患者やさまざまな合併症を有する患者においても,デスフルランの有用性については多くの報告がなされている.一方,デスフルランを含めた吸入麻酔薬は,非生理的化学物質であるがゆえに,各臓器に対する薬理作用を十分に把握した上で使用することが望ましい.本稿では,デスフルランが呼吸,循環,中枢神経,内分泌代謝系,骨格筋へ及ぼす基本的な薬理学的作用を概説し,他の吸入麻酔薬との相違点や使用上の注意点について述べる.