著者
平石 典子
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.83-118, 2002-03-30

「煩悶青年」---現在では聞き慣れないこの呼称は、明治三十年代から大正時代にかけて、メディアを賑わせた一種の流行語であった。徳富蘇峰は、大正五年に著した書『大正の青年と帝国の前途』の中で、当時の青年たちを「模範青年」 ...
著者
平石 典子
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.18, pp.33-50, 2001

明治後期の日本において,「女学生」は「女子学生」という字義上の意味以上のものを人々に訴えかける存在であった。本論では,高等女学校の成立過程,女学生を主人公にした文学作品の分析などを通して,「女学生神話」がどのようにして成立していったのかを追っている。明治初期の女学生は,ネガティブにとらえられることが多かったが,明治三十年代に入ると,良妻賢母主義に女子教育の照準が定まったことも手伝って,高等女学校は乱立の時代を迎える。その結果,彼女たちは都市における西洋風の美の代名詞のように扱われることとなる。しかし,その一方で,「西洋風」の「恋愛」への憧れと無用心な下宿環境は,彼女たちが「性的に奔放」だというレッテルを貼る。この仮説は,新聞小説やスキャンダル記事によって強化され,「西洋的な美しさを持ち,積極的で性的にも奔放」な存在としての「女学生神話」が確立するのである。
著者
平石 典子
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.1-18, 2004-03-30

明治四十一年三月に、東京で奇妙な事件が発生した。日本女子大学を卒業した会計検査院課長令嬢の失踪に端を発したこの事件は、新聞でも報じられ、失踪の四日後に東京帝国大学出の学士と共に塩原峠で保護 ...
著者
平石 典子
出版者
筑波大学
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.83-118, 2002

「煩悶青年」---現在では聞き慣れないこの呼称は、明治三十年代から大正時代にかけて、メディアを賑わせた一種の流行語であった。徳富蘇峰は、大正五年に著した書『大正の青年と帝国の前途』の中で、当時の青年たちを「模範青年」 ...
著者
平石 典子
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.74-59, 2001-10-31

明治後期の日本において、「女学生」は「女子学生」という字義以上のものを人々に訴えかける存在であった。前稿(1)では、文学作品におけるこの「女学生」を巡る言説がある方向へと収斂していく過程を追い、その結果 ...