著者
西岡 奈保 田中 紀子 平野 直美 中村 満
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.9-15, 2013 (Released:2013-02-22)
参考文献数
26
被引用文献数
1

長期トレーニングを行う高齢者の身体機能の変化について調べ,身体機能と栄養摂取,咀嚼力,包括的QOLとの関連性を検討した。膝伸展力や平衡機能及び歩行能力,複合動作能力は初期値とトレーニングによる変化量との間に有意な負の相関関係があり,トレーニングの効果は身体機能の初期値が低い者ほど大きいことがわかった。歩行能力,複合動作能力や咀嚼力はエネルギー摂取量と有意に関連し,これらの機能が高い者ほどエネルギーを多く摂取していた。また,SF-8による精神的サマリースコア(MCS)はBMIと有意な正の相関関係にあり,栄養状態が良好な者ほど精神的QOLは高いことが示された。以上より,高齢者の継続的なトレーニングは特に身体機能が低い者ほど効果的であり,介護予防として有効であることが示された。また身体機能や咀嚼力が良好な者ほど栄養摂取量は高く,栄養状態が良好であると精神的QOLも高いことが示唆された。