著者
広井 正彦
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.492, 1982-06-10

アメリカ合衆国の国勢調査によると,30歳以上で第1子を出産する母親の年齢は1960年で6.8%1),1979年で8%2)というように,高年齢出産化の傾向を示してきている。しかしこれらは社会的要因に由来すると考えられ,このデータから年齢と生殖能力との関係を論ずることは必ずしも容易なことではない。古いデータによると,出産年齢よりみた婦人の妊孕力は25歳がピークであるが,このピークは35歳まで持続するとされている。Jain3)は妊孕力の最高は24歳でその後は30歳まで減少すると報告しており,年齢と妊孕力との関係について月経が存在する期間は全く同じであるとは考えず,年齢と何らかの相関があると考えられてきた。また,Guttmacher4)によれば,初回の妊娠を希望した792例での妊娠までの期間は15〜24歳では2ケ月,35〜44歳では3.8ケ月と,若年者に比して高齢者にはほぼ2倍の期間を妊娠までに要するとし,高齢者の妊孕力の低下を示している。 このように一般には婦人がある年齢層に達すると妊孕力が低下することは認められているものの,この自然の生殖能に関する報告は少ない。すでに三つのデータを分析し,Leri—don5)は婦人の妊孕性は30歳をすぎると低下すると結論している。しかし,この妊孕性の低下は生物学的な意味で妊孕性が低下するのか,ただ単に性欲や性交回数の減少に由来するのかが判明しない。