著者
太田 修司 吉川 衛 庄司 和広 谷藤 泰正
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.360-364, 2006-12-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23

鼻内処置ならびに経鼻挿管治療において, 出血予防目的でエピネフリンが一般的に用いられている。しかしながら, 現在までに鼻内塗布血管収縮薬について有効濃度についての報告は少ない。今回我々は, 出血予防で鼻内処置に使用するエピネフリンおよびフェニレフリンの使用至適濃度について比較検討したので報告する。対象は鼻, 副鼻腔疾患の既往がなく, 1週間以内に上気道炎を罹患していない24-32歳 (平均 : 26.3±3歳) の健常成人ボランティア9名 (男性5名, 女性4名) 。測定は0.02%-0.001%エピネフリン, 0.5%および0.1%塩酸フェニレフリン, 及び対照用生理的食塩水を用い, 各濃度別薬剤2mlを染みこませたガーゼを被験者の右鼻腔内に3分間挿入した。その後内視鏡による貼付処置前後の色調及び粘膜収縮の観察と, 通気度計による通気度 (圧・流量曲線) 測定を行った。結果は, 内視鏡による粘膜色調, 収縮変化観察において, 対照を除く各群において収縮および下鼻甲介粘膜に貧血様の蒼白色調変化を認めた。通気度改善率の検討では対照群 (生食) との比較において0.02%, 0.01%エピネフリン群及び, 0.5%フェニレフリン群問に有意な通気改善を認めた。経鼻挿管に使用する出血予防血管収縮薬至適濃度は0.01%エピネフリンおよび0.5%フェニレフリンで効果があると考えられる。
著者
福島 東浩 澁谷 有香 小林 秀嗣 西川 正子 庄司 和広
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-8, 2019-01-15 (Released:2019-02-14)

セボフルラン(SEV)よりもデスフルラン(DES)の方が早く覚醒するといわれるが,実臨床では吸入麻酔の種類より麻酔科医の熟練度の方が影響を与えている可能性がある.本研究の多変量解析の結果,抜管までの時間はDES使用より(HR 1.17,[95%信頼区間 1.01-1.34],p=0.04),麻酔科医の熟練度の方が強く関連していた(研修医+指導医;参照,卒後6-9年;HR 1.59,[1.24-2.05,p<0.001],卒後10年;HR 1.53,[1.20-1.97,p=0.001]).抜管までの時間はDES使用で若干の短縮が認められたが,麻酔科医の熟練度の影響の方が大きいことが示唆された.