著者
大賀 淳子 庄子 和夫 島田 凉子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.77-89, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
51

本研究は,生徒の自己効力感への学校登山の影響について明らかにすることを目的とした.長野県の山への登山を行った2つの中学と2つの高校の生徒(登山参加者531人,登山をしなかった対照群73人)を対象として,登山前,後,1ヶ月後(登山をしなかった対照群では相当時)における自己効力感の測定を行った.また,登山を行った生徒には登山後に,Banduraの4つの情報源,波多野らの5つの条件,および登山での体験に関する質問紙調査を行った.その結果,登山に参加した生徒の自己効力感は登山後に有意に上昇し,1ヶ月後まで保たれていた.これに対して,対照群の自己効力感に変化はみられなかった.また,登山前の自己効力感が低かった生徒のほうが登山による自己効力感の上昇が大きかった.登山における自己効力感の変化への関連要因は「山の自然の印象」,Banduraの「代理的経験」,および波多野らの「他者との暖かいやりとり」であった.したがって,学校登山においては,山の自然に心を動かされることに加えて,友人の頑張る姿から刺激を受けたり,友人との暖かなやりとりを通じて,生徒の自己効力感が上昇すると考えられた.
著者
美濃 陽介 吉田 浩子 庄子 和夫
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.73-86, 2022 (Released:2022-09-22)
参考文献数
44

学校教員の職業性ストレス低減に資する新たな知見を得ることを目的に,学校教員1,000人を対象にインターネット調査を実施した.健康上の問題を自覚していた640人を,ストレス反応合計得点(職業性ストレス簡易調査票)と労働障害指数(日本語版SPS)の組み合わせで分類した.分類されたストレス状況の異なる各群によって関連する諸要因が異なるという仮説を検証した.多母集団同時分析の結果,就労状況,教職に対する価値観,ワークモチベーション,労働障害指数,職業性ストレス要因・反応の下位項目を変数とする適合度の良いモデルが得られ,各群に共通のパスと固有のパスが抽出された.過重労働に伴う負荷に加え,教職に対する価値観やワークモチベーションがストレス要因からストレス反応に至る過程に干渉要因として作用していた.学校教員の職業性ストレス低減のために過重労働といった就労状況の改善に加え,職務に対する価値観や適切なワークモチベーションの維持に配慮した支援が必要と考えられる.
著者
池谷 昌枝 島田 凉子 庄子 和夫
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.75-85, 2014-09-01 (Released:2014-09-13)
参考文献数
47

本研究ではn-3 polyunsaturated fatty acid (PUFA) 量とn-6/n-3PUFA比率を統制した食事が大学生の心理的ストレス応答にどのような影響を及ぼすかについて調査した.大学生男女23名を実験群13名とコントロール群10名に分け,調整期 (n-6/n-3=8) 3日間,介入期 (実験群:n-6/n-3=2,コントロール群:n-6/n-3=8) 7日間の食事介入を行った.最終日に暗算を行い,暗算前後の唾液中コルチゾール,尿中ビオピリン,profile of mood states-brief form (POMS短縮版) の群間比較を行った.実験群ではコントロール群よりも暗算後の気分の回復が早く,唾液中コルチゾールの終息も良好であった.また実験群は暗算後の尿中ビオピリンの上昇が抑制されていた.これは,n-3PUFAによりhypothalamic-pituitary-adrenal axis (HPA系) の負のフィードバックが良好であったことや活性酸素種への対処が円滑に行われたことに起因すると考えられる.