著者
大賀 淳子 庄子 和夫 島田 凉子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.77-89, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
51

本研究は,生徒の自己効力感への学校登山の影響について明らかにすることを目的とした.長野県の山への登山を行った2つの中学と2つの高校の生徒(登山参加者531人,登山をしなかった対照群73人)を対象として,登山前,後,1ヶ月後(登山をしなかった対照群では相当時)における自己効力感の測定を行った.また,登山を行った生徒には登山後に,Banduraの4つの情報源,波多野らの5つの条件,および登山での体験に関する質問紙調査を行った.その結果,登山に参加した生徒の自己効力感は登山後に有意に上昇し,1ヶ月後まで保たれていた.これに対して,対照群の自己効力感に変化はみられなかった.また,登山前の自己効力感が低かった生徒のほうが登山による自己効力感の上昇が大きかった.登山における自己効力感の変化への関連要因は「山の自然の印象」,Banduraの「代理的経験」,および波多野らの「他者との暖かいやりとり」であった.したがって,学校登山においては,山の自然に心を動かされることに加えて,友人の頑張る姿から刺激を受けたり,友人との暖かなやりとりを通じて,生徒の自己効力感が上昇すると考えられた.
著者
影山 隆之 錦戸 典子 小林 敏生 大賀 淳子 河島 美枝子
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
大分看護科学研究 (ISSN:13456644)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-10, 2003-04
被引用文献数
5

病院看護職の職業性ストレスの特徴および精神健康との関連を職業性ストレスモデルに拠って検討するために、一公立病院の看護職101 名に対して横断的な質問紙調査を行い、女性98 名(97%)の回答について分析した。一般男性勤労者に比べ、対象者が経験しているjob demand は特に高いものでなく、しかもcontrol とreward の水準は高かった。これは病院看護職についての先行研究と比較しても、比較的恵まれた状況に見える。それにもかかわらず、その精神健康度は、病院看護職についての先行報告と同様の低い水準にあり、このことは職業性ストレス簡易質問紙で調べた一般的な職場環境要因から説明できなかった。精神健康度と関連する要因は、職場の対人関係の困難、達成感、仕事以外の悩み・心配事、抑圧的なストレス対処特性、および年齢であり、達成感は対人関係の困難に対して緩衝作用をもつことも示唆された。これらの関連要因の中には、一般勤労者と共通するものと、本集団に特有のものが見られた。女性交替勤務職という職種の特徴がこれらの関連要因に影響している可能性や、対象者のストレス対処特性に一定の偏りがあるかどうかなどは、今後の検討課題と考えられた。本研究の結果に基づきこの病院で試み始めているストレスマネジメント対策について紹介した。
著者
影山 隆之 大賀 淳子 河島 美枝子 舞 治代 佐田 美貴恵 渡辺 英宣 東保 みづ枝
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
大分看護科学研究 (ISSN:13456644)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.33-39, 2002-06

在宅精神障害者の日常生活における困りごとについて調べるために、大分郡に在住する精神障害者とその同居家族45組に対して自記式質問紙調査を行った。精神障害者自身が認識している困りごとと、その家族が評価した援助の必要性を比較した結果、二つの観点の大きな乖離が詳細に示された。乖離の様相には男女差も認められた。この乖離は、保健師が在宅精神障害者のためのホームヘルプ事業などに係るケースマネジメントを行う際に、参考になる。