著者
美濃 陽介 吉田 浩子 庄子 和夫
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.73-86, 2022 (Released:2022-09-22)
参考文献数
44

学校教員の職業性ストレス低減に資する新たな知見を得ることを目的に,学校教員1,000人を対象にインターネット調査を実施した.健康上の問題を自覚していた640人を,ストレス反応合計得点(職業性ストレス簡易調査票)と労働障害指数(日本語版SPS)の組み合わせで分類した.分類されたストレス状況の異なる各群によって関連する諸要因が異なるという仮説を検証した.多母集団同時分析の結果,就労状況,教職に対する価値観,ワークモチベーション,労働障害指数,職業性ストレス要因・反応の下位項目を変数とする適合度の良いモデルが得られ,各群に共通のパスと固有のパスが抽出された.過重労働に伴う負荷に加え,教職に対する価値観やワークモチベーションがストレス要因からストレス反応に至る過程に干渉要因として作用していた.学校教員の職業性ストレス低減のために過重労働といった就労状況の改善に加え,職務に対する価値観や適切なワークモチベーションの維持に配慮した支援が必要と考えられる.