著者
庵本 直矢 竹林 崇 池場 奈菜
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.204-213, 2021-04-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
25

我々は回復期の脳卒中後中等度から重度上肢麻痺患者5名に対し,ReoGo®-Jを用いた自主練習(以下,ロボット療法)とCI療法に準じた介入(以下,修正CI療法)を提供後,自宅退院1ヵ月後の麻痺手の機能と使用行動を観察した.その結果,介入前後では上肢機能と麻痺手の使用行動の改善が得られ,退院後の経過では,上肢機能や麻痺手の使用行動が維持されていた.これらの結果より,回復期脳卒中後の中等度から重度上肢麻痺に対しては,ロボット療法を活用しつつ修正CI療法を実施することで,効率的に機能改善や麻痺手の使用行動の改善が得られるだけでなく,退院後も麻痺手の機能や使用行動を維持できる可能性が示唆された.
著者
庵本 直矢 稲垣 亜紀 柏木 晴子 竹林 崇 花田 恵介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.78-85, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
21

今回,脳出血後に上肢麻痺を呈した2症例に対し,脳卒中後の上肢麻痺に対してエビデンスが確立された介入を麻痺手の状態に合わせて行った.また,得られた上肢機能や使用行動の改善と白質のFractional Anisotropy(以下,FA)の変化の関連性を検討した.結果,2症例ともに上肢機能や使用行動の改善が得られ,FAでは鉤状束のみが両者とも向上した.そのため,上肢機能や使用行動の改善に伴って,運動機能に関わる皮質脊髄路の可塑的変化が生じる可能性は低いと思われた.一方で,報酬系に関わる鉤状束の可塑的変化が生じる可能性が示された.
著者
庵本 直矢 竹林 崇 日比野 新
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.579-589, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
21

要旨:ロボット療法は,脳卒中後上肢麻痺の改善に有効だが,麻痺手の使用行動の改善が困難である.今回,亜急性期の脳卒中後中等度~重度上肢麻痺患者に対し,ReoGoⓇ-Jを用いた自主練習(Reo練習)と麻痺手の使用行動の改善に有効であるCI療法に準じたアプローチ(以下,修正CI療法)を6週間実施し,麻痺手の使用行動の改善が可能かを先行研究の結果と比較することで検討した.結果,先行研究よりも明らかな上肢機能の改善と実生活における麻痺手の使用行動の改善を認めた.これより,ロボット療法によって獲得された機能を実生活に活かし,さらなる上肢機能の改善といった相乗効果を得るには,修正CI療法の導入が有効であることが示唆された.