著者
伊良皆 拓 金城 優志 田中 創大 恒田 雅人 平島 英明
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.88-105, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
9

Details of Young Researchers’ Association of Medical Physics (YRAMP) was introduced. In addition, several questionnaire surveys on medical physics education (MPE) or medical physicist training system (MPTS) in Japan have been conducted, none have targeted the current status and issues of MPE and MPTS. The purpose of this study was to investigate those from the perspective of researchers and students under 35-year-old (y.o.). The questionnaire survey was conducted between 14th September to 14th October 2021, for 112 members of the Young Researchers’ Association of Medical Physics via Google Forms. The questionnaire was in two parts: MPE (Part1) and MPTS (Part2). Three subparts were constructed in Part1: Classroom lecture, Clinical training, Education course accredited by Japanese Board of Medical Physicist Qualification. Out of a total of 126 questions, 38 were mandatory to be answered. No personal information was collected. Ninety-three members (83.0%) were answered. The age structure of the respondents was as follows: 18–21, 22–26, 27–30, and 31–35 y.o.=5.4%, 36.6%, 39.8%, and 18.2%. Of the respondents, 74.2% and 11.8% answered that they first heard of “medical physics” or “medical physicist” when they were undergraduate students and in high school or younger, respectively. In Classroom lecture, 61.3%, 17.2%, and 21.5% of the respondents answered that they were “satisfied” or “moderately satisfied”, “dissatisfied” or “moderately dissatisfied”, and “Not sure” with the current MPE, respectively. In Clinical training, Education course, and MPTS, 58.1%, 21.5%, and 20.4% of the respondents answered that they were “satisfied” or “moderately satisfied”, “dissatisfied” or “moderately dissatisfied”, and “Not sure”, respectively. In both MPE and MPTS, approximately 88% and 51% of the respondents answered that “holding lectures and study sessions for high school and undergraduate students” and “utilizing YouTube” would be useful in promoting MPE and MPTS in Japan, respectively. The results of the questionnaire survey will provide useful data for MPE and MPTS in Japan.
著者
田中 創 吉原 理美 伊藤 恵美
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.655-662, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
15

【目的】ドライブレコーダーを用いて包括的に運転行動を評価し,対象者の運転再開を支援することを目的とした.【方法】脳損傷者1名を対象に実車運転評価を実施した.作業療法士は評価結果を書面にまとめて対象者へ郵送し,その内容について感想の返送を求めた.【結果】実車運転評価実施後のアンケートでは,自身の運転行動を客観的に振り返る機会を得たことに対する肯定的な感想が記載されていた.【結論】ドライブレコーダーを併用した運転評価を行い,その評価結果を書面にて呈示したことは,対象者本人が運転行動を振り返る機会となり,かつ,家族が対象者本人の運転能力を理解してもらう際に役立つ情報提供となった可能性が考えられた.
著者
田中 創
出版者
山川出版社
雑誌
歴史と地理 (ISSN:13435957)
巻号頁・発行日
no.659, pp.39-43, 2012-11
著者
⽊村 尚道 ⽥中 創
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
pp.202206, (Released:2023-04-08)
参考文献数
44

【⽬的】⼈⼯膝関節全置換術(Total knee arthroplasty:以下,TKA)の適応となった末期変形性膝関節症患者における術前の⽣活空間に影響する要因を検討することとした。【⽅法】対象者数は70 名であった。TKA 前に⽣活空間(Life-space assessment:以下,LSA),Timed up & go test(以下,TUG),痛みに関連する因⼦を評価し,LSA に影響する要因を調査した。運動恐怖の評価では,対象となる動作を聴取した。【結果】LSA を従属変数とした重回帰分析の結果,TUG と運動恐怖が独⽴して関連していた。また,恐怖の対象となる動作は,対象者全体の67.1% が階段昇降と回答した。【結論】TKA の適応となった末期変形性膝関節症患者の⽣活空間にはTUG と運動恐怖が影響することが明らかになった。また,対象者の67.1% が恐怖の対象となる動作を階段昇降と回答した。
著者
周藤 芳幸 金山 弥平 長田 年弘 師尾 晶子 高橋 亮介 田澤 恵子 佐藤 昇 大林 京子 田中 創 藤井 崇 安川 晴基 芳賀 京子 中野 智章
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

当該年度は、前プロジェクト「古代地中海世界における知の伝達の諸形態」の最終年度に当たっており、そこで既に策定されていた研究計画を着実に進めるとともに、現プロジェクト「古代地中海世界における知の動態と文化的記憶」の本格的な展開に向けて新たな模索を行った。具体的には、図像による知の伝達の諸相を明らかにするために、図像班を中心に研究会「死者を記念する―古代ギリシアの葬礼制度と美術に関する研究」を開催し、陶器画による情報の伝達について多方面からの共同研究を行った。また、9月3日から7日にかけて、国外の大学や研究機関から古代地中海文化研究の最先端で活躍している13名の研究者を招聘し、そこに本共同研究のメンバーのほぼ全員が参加する形で、第4回日欧古代地中海世界コロキアム「古代地中海世界における知の伝達と組織化」を名古屋大学で開催した。このコロキアムでは、古代ギリシアの歴史家の情報源、情報を記録する数字の表記法、文字の使用と記憶との関係、会計記録の宗教上の意義、法知識や公会議記録の伝承のメカニズム、異文化間の知識の伝達を通じた集団アイデンティティの形成、神殿などのモニュメントを通じた植民市と母市との間の伝達など、古代地中海世界で観察される知の動態をめぐる様々な問題が議論されたが、そこからは、新プロジェクトの課題に関して豊富なアイディアと示唆を得ることができた。これについては、その成果の出版計画の中でさらに検討を重ね、今後の研究の展開にあたって参考にする予定である。これに加えて、当該年度には、知の伝承に関する基礎データを獲得するためにエジプトでフィールドワークを行ったほか、9月にはダラム大学名誉教授のピーター・ローズ博士、年度末にはオックスフォード大学のニコラス・パーセル教授の講演会を企画・開催するなど、国際的なネットワークの強化にも努めた。
著者
岩坂 知治 江藤 正博 田中 創 副島 義久 森澤 佳三 西川 英夫 山田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C4P2204, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】過去,座位姿勢に着目した重心動揺計を用いた研究は少なく,特に整形外科疾患に特化した研究は数少ない.しかし,臨床上腰部疾患を有する患者の多くは,座位姿勢において何らかの症状を訴えることが多い.これらの患者に対して,体幹機能を重視した評価・アプローチが行われるのが一般的であるが,これだけで症状軽減に繋がらないケースを多々経験する.そこで今回,座位時の重心動揺を,条件を規定して測定した結果,有用な知見が得られたので若干の考察を加えて報告する.【方法】対象は当院外来通院中の腰部疾患患者14名(男性5名,女性9名)で,平均年齢は63.2歳.病態の内訳は変形性腰椎症4名,腰椎圧迫骨折3名,椎間板ヘルニア4名,腰部脊柱管狭窄症3名である.対象群は腰痛の既往のない健常成人10名(男性6名、女性4名)とした.平均年齢は25.6歳.方法は重心動揺計を用いて総軌跡長,単位軌跡長,外周面積,単位面積軌跡長,矩形面積,実効値面積を測定した.計測条件として,昇降式治療ベッドに重心動揺計(アニマ社製グラビコーダGS-31)を置き,両足底が床面に接地した端座位(以下,足底接地),両足底が床面から浮いた端座位(以下,非接地)の2条件とした.計測肢位は,治療用昇降ベッドにて高さ調節を行い,両条件とも股・膝関節90°屈曲位,足底接地条件では足関節底背屈0°となるよう床面の高さを設定,両上肢は胸の前で組み,測定場所より5メートル離れた壁の一点を注視させた.計測は被検者が重心動揺計に座り,測定肢位を取った状態から20秒後に検者がスタートボタンを押し,安静座位の状態を60秒間計測した.なお,同群2条件間の解析はMann-Whitney検定,患者-健常者両群間の解析はWilcoxon検定を用いて検討した.【説明と同意】当院の倫理委員会にて本研究の目的を説明し,同意を得た上で実施した.また,それぞれの対象者に本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た上で実施した.【結果】非接地条件下では,外周面積,単位軌跡長,総軌跡長,矩形面積が患者群で有意に高値を示した(p<0.05).足接地条件下では,患者群において単位面積軌跡長で有意に低値を示した(p<0.05).患者群,健常者群の両群ともに,外周面積,単位面積軌跡長は足底接地条件下では有意に高値を示した(p<0.05).【考察】本結果より,患者群において足底非接地条件下では重心の動揺が顕著にみられたのに対し,足底接地においては重心の動揺が低値を示すことが分かった.通常,足底非接地の座位では,その制御に股関節より上位の体節が関与するとされている.この条件下では患者群において体幹での制御が不十分なことから,動揺が大きくなったものと考えられる.一方,足底接地においては,足部を接地したことによる支持面の増加,制御に関わる体節の増加,つまりは運動制御に関わる自由度が増加したことで,体幹での制御が軽減され,重心動揺が低値を示したものと考えられる.しかし,健常者群と比較して患者群の単位面積軌跡長が低値を示す結果となった.これは,患者群で足底が接地することで,固定化された座位姿勢が形成されたものと考えられる.足底非接地条件下では腰部疾患患者の既往に伴い,体幹の制御不良が露呈される結果になったが,腰部疾患患者においては足部接地の条件が加わるとで,足部を軸とした下肢の制御が大きく関与することが考えられる.これらより,腰部疾患患者に対して,体幹機能のみならず,下肢の影響も考慮して評価を行なっていく有用性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究より,過去研究数の少ない整形疾患の座位重心動揺に対する有用なデータが得られ,腰部疾患患者における評価の新たな視点となりうる結果となった.しかし,重心動揺計により得られた結果はあくまで二次元で示されたものであるため,床反力を考慮した研究を今後の課題としたい.
著者
田中創 西上智彦 山下浩史 今井亮太 吉本隆昌 牛田享宏
雑誌
日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会
巻号頁・発行日
2020-11-20

末梢器官から脊髄後角へ伝達された痛みの情報は,脳の広範な領域へ伝えられる.その中でも,体性感覚野は痛みの強度,部位,性質を同定する役割を担っている.特に,体性感覚野は痛みの部位を同定する機能を果たしているため,痛みの慢性化により体性感覚野の体部位再現が不明瞭になると,「どこが痛いのか正確に分からない」,「痛みのある部分が実際よりも腫れたように感じる」という訴えが聞かれることがある(Maihofner, 2010).このように,末梢からの侵害刺激によって身体知覚異常が生じることが明らかにされており,慢性疼痛患者の評価において身体知覚は重要な概念である.慢性疼痛患者の身体知覚を客観的に評価する指標には,2点識別覚(Two point discrimination: TPD)がある.TPDは皮膚上の2点を同時に刺激し,2点と感じられる最小の距離を識別する感覚であり,体性感覚野や下頭頂葉の可塑性を反映する評価とされている(Flor, 2000, Akatsuka, 2008).慢性腰痛症例において,腰部の輪郭が拡大していると感じる群ではTPDが有意に低下することを明らかにした(Nishigami, 2015).また,成人脳性麻痺者を対象とした調査において,見かけ上の姿勢異常よりも主観的な身体知覚やTPDの低下が慢性腰痛に関与することを明らかにした(Yamashita, Nishigami, 2019).さらに,我々は超音波を用いて変形性膝関節症(膝OA)患者の膝腫脹を評価し,自覚的腫脹との乖離がある膝OA患者では,安静時痛・運動時痛が強く,TPDの低下を認めることを明らかにした.このように,身体知覚が痛みに影響する一方で,痛みの慢性化には運動恐怖が影響する.運動恐怖とは,痛みによる恐怖心から行動を回避することであり,例えば慢性腰痛患者が腰を曲げることを怖いと感じることなどがそれに当たる.このような運動恐怖を評価する指標としては,これまでFear Avoidance Beliefs QuestionnaireやTampa Scale for Kinesiophobiaが用いられてきた.しかし,これらの評価は自記式質問紙であり,痛みに関連した運動恐怖を客観化する指標にはなり得ない.そのような背景から,近年では痛みに関連した運動恐怖を運動学的異常として捉える運動躊躇という概念が提唱され,運動方向を切り変える時間(Reciprocal Innervation Time: RIT)として表される(Imai, 2018).橈骨遠位端骨折術後患者において,術後早期の運動躊躇が1ヵ月後の運動機能に悪影響を及ぼすことが明らかにされている(Imai, 2020).また,我々はSingle hop test時に運動恐怖を感じている前十字靭帯再建術後患者では,膝屈伸運動中のRITが遅延し,それには位置覚の異常が影響することを調査している.これらより,痛みや身体機能には身体知覚や運動恐怖が密接に関与しており,それらを客観的に定量化することが重要である.今後は,定量化した因子に対して介入することで,慢性疼痛の予防や身体機能の改善につなげていくことが課題である.
著者
赤津 裕康 土井 愛美 正木 克由規 田中 創始 兼松 孝好 小嶋 雅代 明石 惠子 岩田 彰 鈴木 匡 木村 和哲 浅井 清文 間辺 利江 大原 隆弘 竹尾 淳 川出 義浩 木村 雄子 近藤 麻央 伊藤 禎芳 長野 弘季 野崎 耀志郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日老医誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.358-366, 2018
被引用文献数
2

<p><b>目的:</b>今後の超高齢社会を乗り切っていく重要な1つの方策は意識改革である.その要になるのはヘルスケア・メディケーションを行いつつ自らの最終ゴールを見つめる,即ちアドバンスケアプランニング(Advance care planning:以下ACPと略す)と事前指示(Advance directive:以下Adと略す)を行うことである.また,パーソナルヘルスレコード(Personal Health Record:以下PHRと略す)の匿名開示,病理解剖はあまり言及されていない.しかし,死後のことも事前に考え,意向を聞いておく環境整備も必要である.この死後対応を含めたAd/ACPの啓発・浸透が国民の意識改革にもなっていく.本研究は地域住民の意識をアンケート形式で把握し,講演(啓発活動)での変容を捉えることを目的とした.<b>方法:</b>高齢化の進む大都市旧ニュータウン住民へAd/ACP啓発講演を行い,その前後での意識調査を行った.意識調査はアンケートでの自記式4択を主体に末期認知症になった状況を主に想定した6大項目,38問を設けた.<b>結果:</b>参加者は35名(男7名,女22名)で40歳代~80代以上で70歳代が25名であった.途中退出者が数名発生したため,前後変容に関しては,統計的解析は不可能であったが意識変容の傾向は得られた.特に死後の対応(献体)に関しては有意差をもった意識変化を認めた.また蘇生・延命の希望者数と救急搬送希望者数に乖離を認めた.<b>結論:</b>医療行為への希望・不安はその情報量に加え,置かれた状況でも変容する.今回の意識調査で,死後の社会貢献意識に講演前後で変化が観られた.また蘇生・延命と救急搬送は別物と捉える地域住民が多い点も明らかとなった.今後のAd/ACPの普及,意識改革では,この点を念頭においた地道な活動と医療・介護者,地域の方々,家族,本人との連携が必要である.</p>
著者
辻本 浩史 後藤 祐輔 竹下 航 田中 創
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.559-564, 2006 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8

The large and severe typhoon No.14 passed through along the west Kyusyu on September 4th-7th, 2005. The speed of typhoon was low, so, the heavy rainfall continued for a long time. Total rainfall of many observation points exceeded the maximum record and the water level of Ooyodo River, Komaru River and Gokase River exceeded the high water. 15, 000 or more people in Miyazaki city and 50, 000 or more people in Nobeoka city were ordered to refuge. A lot of meteorological information was able to get by internet-web-sites . Among them, the accuracy of the forecast information of 24 hours rainfall and the efficiency of the spatial and temporal information of flood risks was verified. As the results, it was shown that these information which support self-help, co-help of inhabitants are useful for the disaster prevention.
著者
金城 慎也 田中 創 副島 義久 西川 英夫 森澤 佳三
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.102, 2009 (Released:2009-12-01)

【はじめに】 肩関節周囲炎患者において,肩関節の内外旋や前腕の回内外の可動域制限が肩関節挙上角度に影響を及ぼすことは先行研究により示唆されている.また,臨床場面においても,前腕の回内外可動域制限を来している症例が多い.しかし,それと同時に手指機能が不良な例も多く,特に母指の伸展,外転の可動域制限を来している症例をよく経験する.母指の伸展,外転の可動域制限は末梢からの運動連鎖として前腕の回内,肩関節の内旋を余儀なくされ,肩関節挙上制限の一因子となると考えられる.そこで今回,肩関節周囲炎患者に対して,母指可動域と肩,前腕可動域の関係性について検討したので報告する.【対象及び方法】 対象は保存的加療中の一側肩関節周囲炎患者12名(平均年齢54.25±6歳)とし,自動運動での肩関節の前方挙上(以下、前挙),外旋,前腕回内外,母指橈側外転,伸展の可動域を計測した.得られた計測値をもとに健側を基準として各計測値の左右差を求めた.統計学的処理にはウィルコクソン符号付順位和検定を用い,得られた値から肩,前腕,母指の可動域制限の関係性を調べた.【結果】 統計処理の結果,肩関節前挙と母指橈側外転(p<0.05),肩関節前挙と母指伸展(p<0.01),肩関節外旋と母指橈側外転(p<0.05),肩関節外旋と母指伸展(p<0.01),前腕回外と母指伸展(p<0.05),母指橈側外転と母指伸展(p<0.05)に有意な正の相関が認められた.【考察】 研究結果より,肩関節周囲炎患者において,肩関節前挙制限には母指橈側外転制限と伸展制限,肩外旋制限には母指橈側外転制限と伸展制限,前腕回外制限には母指伸展制限との関係性が認められた.肩関節前挙に関して肩外旋可動域制限が多大な影響を及ぼすことは知られており,上肢の運動連鎖において,前腕の回外運動には肩外旋として運動が波及することが言われてる.今回の研究結果から,遠位関節からの運動連鎖として,母指橈側外転と伸展が前腕の回外運動に影響していることが示された.その背景として,遠位橈尺関節から回外運動を波及させる為には,筋の起始停止の走行から長母指外転筋と短母指伸筋が関与していると考えられ,それらの機能が破綻することで前腕回外制限が生じると考えられる.これらのことから,肩関節周囲炎患者の挙上制限に対しては前腕,母指の影響まで考慮してアプローチしていく必要性が示唆された.
著者
浮橋 明洋 田中 創 西上 智彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-23_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【背景】変形性関節症(膝OA)において,neglect-like症候群,身体イメージの異常,固有受容感覚の低下などの身体知覚異常が認められることがある.The Fremantle Knee Awareness Questionnaire(FreKAQ)は,膝OA患者における9項目から構成される膝の身体知覚異常の評価であり,一元性,信頼性や再現性が認められている.また,FreKAQスコアは疼痛や能力障害と関係があることが明らかになっている.しかし,どの項目がFreKAQにおける特性を適切に反映しているかは明らかではない.本研究の目的は項目反応理論(Item Response Theory:IRT)を用い,FreKAQの識別力の高い項目を明らかにすることである.【方法】本研究は膝OA患者303例(男性66例,女性237例,69.1±9.9歳)を対象とし,IRTにおける段階反応モデルによって,FreKAQにおける識別力及び項目反応カテゴリ特性曲線を推定した.識別力は0.65以下がlow,0.65-1.34がmoderate,1.35-1.69がhigh,1.7以上がvery highとした.項目反応カテゴリ特性曲線は各カテゴリの反応段階のカーブがピークを表出しているか検討した.統計解析はMplus 8を用いて行った.【結果(考察も含む)】FreKAQのすべての項目においてmoderateからvery highの識別力が認められた.特に項目5(日常生活(家事や仕事など)をしている時に,自分の膝がどのような姿勢になっているか正確に分からない)と,項目6(自分の膝の輪郭を正確にイメージすることができない)は,高い識別力であった(それぞれ2.00,1.70).項目9(私の膝は右側と左側で感じ方が違う(一方が重たく感じたり,太く感じる))の識別力は,他の項目と比較して相対的に低かった(0.83).項目反応カテゴリ特性曲線において,項目5,6については反応段階のカーブがピークを表出しているが,一方で,項目9ではピークを表出されることなく,次の反応段階の確率曲線にとってかわっていた.FreKAQにおいて,特に重要となる項目は5と6であることが認められた.項目5は固有受容感覚の低下,項目6は身体イメージの異常にそれぞれ関与する項目であり,これらの項目の改善を目的とした理学療法がFreKAQスコアを減少し,さらに,疼痛の軽減や能力障害の改善に有効である可能性がある.【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき,すべての対象者には本研究の研究内容,リスク,参加の自由などを十分に説明した上で書面による同意を得た.また,本研究は九州医療整形外科・内科 リハビリテーションクリニック倫理委員会の承認を得た上で実施した.
著者
田中 創 白坂 祐仁 矢野 雅直 小牟禮 幸大 森澤 佳三 西川 英夫 副島 義久 山田 実
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.144, 2009 (Released:2009-12-01)

【はじめに】 臨床において立位の回旋動作に左右差を来している症例をよく経験する.しかし,その回旋動作の左右差がどのような因子によって成されているかを明確にした文献はない.よって,今回は立位の回旋動作に関与する因子として体幹と股関節の回旋量に着目して検討したので報告する. 【対象】 身体に重篤な既往のない健常成人20名(男性18名,女性2名) 平均年齢24.7±8歳. 【方法】 左右の踵をラインに合わせ,歩幅は任意の状態での立位とした.この肢位をスタートポジションとし左右への回旋を行い,これを1)立位回旋量として測定した.また,検者による骨盤固定での回旋を2)体幹回旋量として測定した(骨盤より上位の体節による回旋).3)股関節の回旋は立位の状態を再現するために腹臥位,股関節屈伸中間位での外旋と内旋の角度を計測した.計測は日本整形外科学会による評価法に従い,ゴニオメーターを使用して測定した.計測から得られた立位回旋量(左右),体幹回旋量(左右),股関節内外旋量(左右)の値に加え,それぞれの回旋量の関係を調べるためにSpearmanの相関分析を用いた. 【結果】 立位右回旋と体幹右回旋(r=.451,p=.046),立位左回旋と体幹左回旋(r=.450,p=.046),股関節外旋(右-左)と股関節内旋(右-左)(r=-.475,p=.034)に有意な相関関係が認められた. 【考察】 立位の回旋運動では,右回旋において骨盤帯の右回旋が生じることから,右股関節では寛骨に対する大腿骨の相対的な内旋運動,左股関節では寛骨に対する大腿骨の相対的な外旋運動が生じると考えられている.立位の左回旋でも同様に逆の作用が生じるとされている.そのため,仮に立位の回旋運動に左右差が生じていれば,それが股関節の可動性にも影響を及ぼしているのではないかということが推察された.本研究では立位の回旋運動においてはほぼ全ての被験者に左右差を認めたものの,それと股関節の可動域の関係性は認められなかった.その要因として,股関節の回旋可動域の計測を他動運動で行ったことが挙げられる.通常,立位の回旋運動は荷重下での運動となるため,股関節には自動運動での作用が強いられる.そのため,他動的に計測した今回の値とは関連性が認められなかったものと考えられる.これは日常の臨床においても,立位の回旋運動に変化を与えたい場合には他動運動が変化するだけでは十分な効果は得られないということを示唆する結果となった.今後は可動性という量的側面に加え,筋・筋膜系,神経制御等といった質的側面にも着目して検討していきたい.
著者
田中 創大 田儀 和浩 藤原 健 高橋 浩之 上坂 充 草野 譲一 中村 直樹 山本 昌志 菅原 浩一郎 田辺 英二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

腫瘍追尾型X線がん治療に用いることを想定して、ビームの線量、位置と形状をリアルタイムに計測できるガス検出器とデータ処理システムを開発した。GlassGEMで電離した電子を増幅し、二次電子の電流を測定することで線量を、電子雪崩の際のシンチレーション光をCCDカメラでとらえることで位置と形状の情報をリアルタイムで統合的に取得可能なシステムを開発した。
著者
田中 創 守屋 岳 岩淵 哲也 日下 博幸
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.213-228, 2010-04-30
被引用文献数
1

近年,GPS可降水量の解析技術の進歩,計算機の高性能化,データ通信回線の大容量化等により数値予報のデータ同化に利用できる精度のリアルタイム解析が可能になった.本論文では,GPS可降水量のリアルタイム解析データの同化について事例解析で予測が改善した例について報告した後,予測ルーチンでの運用を想定した夏季(2007年7-8月)の同化実験を行い,GPS可降水量データのWRFモデルへの同化の影響を評価した.GPS可降水量データに関してはリアルタイム解析でも一定の精度のデータが得られた.事例解析の同化実験では,局地的な強雨の予測に成功した例を示した.統計解析を目的とした夏季2ヶ月間(2007年7-8月)の同化実験では,弱い雨,強い雨ともに降水頻度が増加し,スコア(ETS)がやや悪化した.そのため改善策として同化の際の条件設定について再考した.全期間のスコアでは弱い雨(0〜1mm/h程度)については若干スコアの改善が見られた.気象現象別のスコアでは前線性の降水や台風など比較的スケールの大きな現象についてはスコアの改善は見られなかったが,雷雨などの不安定性降水については陸上の水蒸気の詳細な分布を同化することによりスコアが改善し,GPS可降水量の同化が有効であることがわかった.
著者
田中 創 山崎 博司 寺地 誠喜 瀬川 大資 角田 敏一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.71, no.702, pp.690-695, 2005-02-25
参考文献数
10
被引用文献数
3

An experimental study has been carried out to reveal the statistical characteristics for the onset of micro-explosion of an emulsion droplet burning on a hot surface. Detail measurements of the waiting time for the onset of micro-explosion are made for various properties of base fuel, water contents and surface temperatures. The Weibull analysis is applied to obtain the distribution function of the waiting time for the onset of micro-explosion and to derive the empirical formula for the rate of micro-explosion as a function of water volume and emulsion temperature. The base fuels employed are n-decane, n-dodecane, n-tetradecane and n-hexadecane. The results show that the waiting time is correlated well with the Weibull distribution of the wear-out type. The mean waiting time decreases with an increase in the boiling point of base fuel, water content and surface temperature. An empirical formula is proposed for the rate of micro-explosion as a function of water volume and emulsion temperature.