著者
康井 洵之介 棟居 洋介 増井 利彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.II_339-II_348, 2015 (Released:2016-06-01)
参考文献数
24

富士山は,2013年に世界文化遺産登録を果たしたが,近年の登山者増加により持続的に利用していく上での許容量を超えているということが指摘されている.本研究では,屎尿処理問題と安全性の確保の視点から,登山者数の上限をルート別に推計した.また,富士山への訪問需要関数を求めることによって,現状の登山者数を推計した上限以下に抑えるための入山料の金額を推計した.結果としては,現状の登山者数はルートによっては上限を大きく上回っていることが明らかになった.登山者数を上限以下に抑えるための入山料を訪問需要関数をもとに推計したところ,登山シーズン全期間の登山者数を対象とした場合にはルート別に0円~3,000円という結果が得られたが,土日等の集中利用時期の混雑解消のためには,2,500円~8,000円の入山料が必要になることを明らかにした.