著者
廣島 拓也 新田 收
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.86-91, 2016 (Released:2018-10-06)
参考文献数
8

片側股関節屈曲制限症例の座位において,左右骨盤に高低差が観察される。しかし,片側股関節屈曲制限と座位時の左右骨盤の高低差の関係について述べられた報告はほとんどない。そこで片側股関節屈曲制限を有する症例の座位における,股関節角度と左右骨盤の高低差の関係を検証した。対象は,片側THA 術後症例9 名とした。対象者には採型器上に座らせ,前額面から静止画を撮影し,rysis(座位姿勢計測用ソフトウェア)を用い骨盤側方傾斜角度を計測した。計測した値より,ASIS 高低差を算出した[ASIS 高低差= ASIS 間距離× sin(骨盤側方傾斜角度)]。80 ─制限側股関節屈曲角度とASIS 高低差の2変量を,相関分析にて検討した結果,2 変量間に強い相関が示された(r = 0.86,p < 0.05)。片側股関節屈曲制限角度が大きい症例ほど,制限側骨盤の挙上が大きいことが示唆され, 片側坐骨部分の座圧集中が生じる座位となる可能性が示唆された。
著者
米澤 隆介 河井 剛 中野 克己 廣島 拓也 前原 邦彦 宮原 拓也 山際 正博 横山 聖一 阿部 裕一 江川 俊介 山畑 史織 實 結樹 久保田 めぐみ 常名 勇気 桒原 慶太
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.80-85, 2016 (Released:2016-03-17)
参考文献数
2

【目的】公益社団法人埼玉県理学療法士会(県士会)南部ブロック県央エリアの認知度と,地域で働く理学療法士(PT)の県士会活動へのニーズを把握する目的でアンケートを実施した。【方法】アンケートは県央エリアの全てのPTを対象とした。アンケートは県央エリアの認知度,研修会や研修会への参加,および県士会活動に関する情報収集に関する計7問とし,郵送にて送付と回収を行った。【結果】アンケートの回答数は274通であった。77名が県央エリアを知らないと答え,186名が県央エリアの研修会や交流会に参加経験がないと答えた。一方,218名が研修会や交流会に参加したいと答えたが,83名が県士会活動について情報収集しておらず,研修会や交流会の開催情報を知らなかったという意見が多かった。【結論】県央エリアの認知度を高めるとともに,研修会や交流会の情報を地域の隅々まで広報することで,PTの県士会活動への潜在的なニーズに応えていく必要がある。
著者
廣島 拓也 杉山 真理 武川 真弓 清宮 清美 鈴木 康子 河合 俊宏
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-29, 2015 (Released:2015-01-09)
参考文献数
5

【はじめに】車椅子処方の際の座位評価において,左右の坐骨の高低差を数値で表現することは困難である。本報では,左右の坐骨の高低差を,股関節屈曲角度または上前腸骨棘(ASIS)傾斜角度から,推測可能か検証した。【方法】対象は股関節屈曲角度の片側が90度以上(健側)で,対側が90度未満(患側)の,脊柱側弯のない12名とした。両側の股関節屈曲角度と坐骨間距離,ASIS間距離を計測した。測定姿勢は,足底を床に接地させ,骨盤前後傾中間位,健側膝関節90度屈曲位,健側腓骨が鉛直となる姿勢とした。ASISの傾斜角度と坐骨傾斜角度は,臀部の陰性モデルを作成し測定した。坐骨高低差とASIS高低差を算出し,坐骨高低差を従属変数,患側股関節屈曲角度・ASIS高低差を独立変数とした単回帰分析により回帰式を算出し,検討した。【結果】回帰式は[坐骨高低差=-0.276×患側股関節屈曲角度+28.146](回帰係数p=0.01)と,[坐骨高低差=0.261×ASIS高低差+4.469](回帰係数p=0.96)が算出された。【結論】股関節屈曲角度に左右差のあるものに対して,患側股関節屈曲角度から坐骨の高低差が推定可能であることが示唆された。身体機能評価に基づいた車椅子処方の一助となると考えられる。