著者
濁川 孝志 満石 寿 遠藤 伸太郎 廣野 正子 和 秀俊
出版者
日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
雑誌
トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.87-104, 2016 (Released:2019-08-06)

本研究の目的は、日本人青年層のスピリチュアリティ傾 向を測る尺度を作成することであった。スピリチュアリ ティの構成概念に基づいた質問紙調査が、271名の大学 生を対象に実施された。統計的に不適切な項目を除い た後、最尤法-プロマックス回転による因子分析を行っ た。その結果、最終的に5因子27項目が得られ、第1因 子より順に『自然との調和』『生きがい』『目に見えない 存在への畏怖』『先祖・ルーツとの繋がり』『自律』と 命名された。この5因子構造27項目の質問項目を、日本 人青年スピリチュアリティ評定尺度(JYS)とした。因 子抽出後の累積寄与率は、53.03%であった。尺度の信 頼性については、クロンバック(Cronbach)のα係数(α =0.89)で確認した。また構成概念妥当性はComparative Fit Index (CFI=0.91)、Goodness of Fit Index (GFI=0.86)、 Adjusted Goodness-of-Fit Index (AGFI=0.83)、そしてRoot Mean Squares Error of Approximation (RMSEA=0.06)な ど で判断した。さらに基準関連妥当性に関してはSTSと の相関( r =0.69、 p <.01)、PILとの相関( r =0.55、 p <0.001)、死生観尺度との関連性で確認した。以上の結 果を総合的に判断して、JYSは日本人青年のスピリチュ アリティ傾向を測定するのに有効な尺度であると判断 した。