- 著者
-
建部 一夫
- 出版者
- 順天堂医学会
- 雑誌
- 順天堂医学 (ISSN:00226769)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.1, pp.16-26, 2012-02-29 (Released:2014-11-11)
- 参考文献数
- 15
患者さんに接し, その症例から多くのことを学びとる臨床実習は, 医師になる者にとって大変重要な学習方法です. 教室の講義で理解しにくい疾患の説明も, 実際の患者さんを前にして学習するとよく理解できます. 臨床実習は以前から行われていますが, 実習時間数や内容, スタイルなどが最近話題になってきました. また, 日本では医師不足のため医学部生の定員数が増加されています. 人数が多くなっても育てる医師の質の低下は避けなくてはなりません. グローバル化が進み, 他国からあるいは他国への医師の移動も多くなってきた現代社会において, その医師の質の保証も必要になってきました. このような流れに対し, 臨床実習のスタイルとして診療参加型実習が推奨されています. 医学生に知識だけ教えてそれを確認するだけではなく, 臨床現場で何ができるかを示し, それを確認できる教育環境が必要です. 医学部教育を通して知識だけでなく, 技能や倫理面, 人格的にも社会に保障のできる医師を送り出すべく, 臨床実習を改善し計画していく必要があります.