著者
大田尾 浩 村田 伸 八谷 瑞紀 弓岡 光徳 小野 武也 梅井 凡子 大塚 彰 溝上 昭宏 川上 照彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.123-129, 2012 (Released:2013-04-02)
参考文献数
41
被引用文献数
2 2

[目的]脳卒中片麻痺患者の座位での骨盤傾斜角度と基本動作能力との関連について検討した。[対象]脳卒中片麻痺患者28名(男性17名,女性11名)とした。[方法]測定項目は,端座位での自動運動による骨盤前傾角度,骨盤後傾角度,骨盤運動可動域,基本動作能力(立ち上がり,着座,立位保持,片脚立位,歩行),Brunnstrom stage および下肢筋力とし,基本動作の可否に関連する因子を分析した。[結果]片脚立位以外の基本動作能力と骨盤前傾角度に有意な関連を認めた。一方で,各測定項目と骨盤後傾角度および骨盤運動可動域とは有意な関係は認められなかった。[結語]脳卒中片麻痺患者の自動運動による骨盤前傾能力は,基本動作能力に関連している可能性が示された。
著者
佐藤 三矢 加藤 茂幸 弓岡 光徳 日高 正巳 小幡 太志 酒井 孝文 仁木 恵子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0183-E0183, 2005

【背景】<BR><BR> 痴呆患者に対し、理学療法が移動能力向上に寄与するところは大きく、維持期(慢性期)のリハビリテーションを展開している現場では、下肢筋力増強や立位バランス向上のための運動療法、屋外歩行や階段昇降などの実践的な応用歩行練習が一般的に用いられている。このような運動療法プログラムは全身運動であり、痴呆の中核症状である精神症状や知的障害を予防または改善する効果を指摘する報告は多い。また、痴呆の進行を予防する上で、寝たきりの状態にさせないことを主張している文献も多く、移動能力促進を目的とした理学療法は寝たきり防止の点についても有意義であると考えられる。<BR> このように痴呆性高齢者において、移動能力は重要な意味を持つ行為であり、移動能力向上を目的とした理学療法は、病院や老人保健施設・在宅などで今や普遍的に行われている。<BR> しかし現在、痴呆性高齢者の移動能力とQOLとの関連性について調査している報告は散見する程度である。<BR> よって今回、痴呆性高齢者を対象として「移動能力」と「QOL」を点数化し、相関について調査した。<BR><BR>【方法】<BR><BR> 対象は、介護老人保健施設に入所している痴呆性高齢者85名。本研究は、対象施設の承認を得た後、文書にて家族からの同意が得られた対象者のみに実施した。痴呆性高齢者の移動能力の評価尺度であるSouthampton Mobility Assessment (SMA)日本語版と痴呆性高齢者のQOL評価尺度であるQOL-Dを用いて、対象者の「移動能力」と「QOL」を点数化し、相関関係について調査した。<BR><BR>【結果】<BR><BR> Speamanの順位相関を用いて検索した結果、SMA日本語版とQOL-Dとの間において、有意な相関関係が認められた(r=.471,p>.001)。<BR><BR>【まとめ】<BR><BR> 今回、SMA日本語版とQOL-Dとの間において、有意な相関関係が認められた。よって、痴呆性高齢者の移動能力への理学療法介入がQOL向上につながる可能性がうかがえた。