著者
石岡 淳一郎 影山 幸雄 一柳 暢孝 斉藤 吉宏 野津 聡 西田 一典 福田 博志 東 四雄
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.752-756, 2007-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

(目的) Cold resect によるTURBTと化学放射線療法を用いて浸潤性膀胱癌に対する膀胱温存治療を行い, その成績を検討した.(対象・方法) TURBTと化学放射線療法による膀胱温存治療を, 浸潤性膀胱癌26例に行った. 深達度はT2:15例, T3:9例, T4:2例, 異型度は, G2:3例, G3:23例であった. TURは, 進達度診断の正確を期するため, 深部筋層まで, 止血のための最小限の電気凝固を用いながら生検鉗子で切除した. その後, 40Gyの外照射を行い, メソトレキセート30mg/m2の全身投与, シスプラチン70mg/m2の動脈内投与を2クール併用した. 治療終了後, 残存腫瘍の有無をTURで確認した. 治療後のTURも膀胱周囲脂肪に至るまで生検鉗子で組織を採取した.(結果) 26例中24例がTURBTを施行され, pT0が13例 (50%), pT1が9例 (35%), pT2が2例 (8%) であった. 平均観察期間24ヵ月 (3.9~69.8), 中央値21.9ヵ月で, 経過中に筋層浸潤癌として再発した2例に膀胱全摘除術を行った. 膀胱温存率は26人中24人, 92%であった. 遠隔転移は4例 (15%) で, 全例局所再発は認めなかった. 2年疾患特異的生存率は91%であった. 重篤な有害事象は認めなかった.(結論) Radical TURBT と化学放射線療法による膀胱温存治療は, 浸潤性膀胱癌に対する安全で有効な治療になり得る可能性が示唆された.
著者
石橋 賢一 城 謙輔 作部 保次 影山 幸雄 鶴岡 秀一
出版者
独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター)
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

アクアポリン11(AQP11)ノックアウトマウスの解析と、線虫のアクアポリン(AQP-CE1~AQP-CE11)の解析を中心におこなった。AQP11がないと嚢胞腎になって腎不全で生後1ヶ月で死ぬ。嚢胞ができる前に近位尿細管に空胞ができるがこれが小胞体を中心とした拡張であることが電顕でわかっていたが、その原因として細胞内オルアネラのpH異常が関与している可能性があきらかになった。これは近位尿細管細胞の初代培養でノックアウトマウス由来のはエンドソームのpHの低下がよわくなっていたことからの類推である。また、ノックアウトマウスの異常がAQP11の直接作用によることが、抗体による組織染色で近位尿細管細胞のみが染まり、また細胞膜ではなく細胞内が染色されることから類推される。まだ空胞変性から嚢胞形成に至る過程が不明である。また培養株細胞(HEK細胞))にGFPでラベルしたAQP11を一過性に発現させると、やはり細胞膜には発現せず、細胞内にとどまっているが、小胞体マーカーと一致して発現しており、in vivoの発現様式に類似していた。空胞ができる1週令の腎臓のRNAのマイクロアレイを行い2倍以上変化する遺伝子を10同定し解析中である。腎臓皮質に限局した嚢胞腎の症例はみあたらなかった。生き延びた稀なノックアウトマスは子孫をつくれるが、精巣の萎縮、とくに精細管上皮の細胞数の減少がみられた。線虫のアクアポリンすべてについてプロモーターの下流にGFPをつけて発現細胞の同定をおこなった。オーバーラップした発現が観察された。また11個のアクアポリンすべてについてRNAiによる遺伝子破壊をおこなったところフェノタイプの異常は認められなかった。オーバーラップしたアクアポリンによる代償で異常が認められなかった可能性もあるので2重。3重の遺伝子破壊を計画している。