著者
影浦 光義 仁平 信 工藤 恵子 寺田 賢 権守 邦夫
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

我々は,1)連合王国(イギリス),アメリカ合衆国およびカナダの法中毒学研究室の実務の調査・研究および資料の収集;2)法中毒学研究室ガイドラインなどの収集した欧米の参考資料の翻訳;3)各研究室に必須の標準操作手順(Standard Operating Procedures)マニュアルの作成など;を行い,試料の採取・取扱いおよび検査のQuality Control/Quality Assuranceに必須の事項を整理するとともに,薬毒物鑑定を始めとする我が国の法中毒学実務を改革する方策を研究した.結論として,我々は,1)検査研究室は法中毒学研究室ガイドラインに沿った標準操作手順マニュアルの整備,研究室が履行したすべての文書化,分析法および各検査のバリデーション,および容認基準を逸脱した結果に対する修正作業(Corrective Action)を行うこと;2)他機関に検査を委託する研究室は,委託先の研究室の使命/目的が当該研究室のそれと合致しているか確認するとともに,委託する研究室に検査試料を手渡すまでは,検査試料に関する全責任を負うこと;関係政府機関は,薬毒物鑑定(検査)に不可欠の薬毒物標準品の入手を容易にする施策を講じるとともに,薬毒物検査(鑑定)を含む司法/行政解剖に関わる鑑定に対して,その必要経費および鑑定料を相当の代価として,当該名目で支払うこと;4)法医学教室(組織)は教室が縮小傾向にある現在,組織の変革は必至であり,英知を集めて将来を真剣に議論すること:を強く勧告する.