著者
仲谷 美江 西田 正吾 坂口 敏明 後藤卯一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.124-135, 1990-01-15
被引用文献数
6

本論文は ソフトウェア開発プロジェクトにおけるコミュニケーション支援に関するものである.ソフトウェアの生産性向上が急務となっている.本論文では 協同作業を支援し 開発プロジェクトの生産効率を上げることを目指している.プロジェクトにインタピニー調査を行ったところ ソフトウェアの意図を表現する適切な方法がないため コミュニケーションが困難であるという問題が見られた.このため コミュニケーションの支援が生産性向上に有効であると予測される.ここでは ソフトウェアの意図やイメージを表現する方法として 劇場モデルを提案する.劇場は 俳優が舞台の上でドラマを演じ 観に見せる場所である.観客はドラマの進行を見て脚本家の意図を読み取る.これは 人間が まとまりの中から意味を把握する認識メカニズムを持っているからである.ここで ソフトウェアの構造がドラマと類似していることに着目した.ソフトウェアの進行を適切に表現すれば 人間はその中から設計者の意図を読み取ることができると考えられる.そこで 劇場モデルに基づいた表現方法を実現する意図伝達支援ツールCOMICS(COMputer-based Intention Communication System)を試作し その有効性について検証した.