著者
山口 智子 山口 昌一 後迫 江理奈 小林 充 高橋 浩
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.606-610, 2017-09-15 (Released:2017-10-20)
参考文献数
10

巨大腹部腫瘍摘出術の麻酔管理では,特に呼吸・循環管理に注意を要し,腫瘍が大きいほどその管理に難渋する.今回,われわれは腫瘍重量約70kgの超巨大卵巣腫瘍摘出術の麻酔管理を経験した.症例は37歳女性,左卵巣摘出術の既往があった.入院時,貧血,酸素飽和度(SpO2)の低下と軽度の拘束性換気障害以外に大きな合併症はなかったが,腹囲が大きすぎるためMRI等の術前検査を十分に行うことができなかった.導入時の低酸素血症と再膨張性肺水腫を念頭に呼吸管理を行い,心拍出量,1回拍出量変化,中心静脈圧を指標としながら循環管理を行った.気道確保器具の選択や,術後呼吸器合併症にも注意が必要であった.