著者
北尾 真梨 津田 聡子 山口 智子 高田 哲
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.83-90, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
16

医学上の倫理的意思決定の実態と、看護師の参加実態と参加に関連する要因を明らかにするために質問紙調査を行った。1. 対象疾患として超低出生体重児、18トリソミー、重症新生児仮死を含む29疾患があげられた。また、家族は意思決定の場に参加しないことや、決定の主体となっていないこともあることが明らかになった。2. 看護師が意思決定の際に 「よく理解していた」 ものは 「子どもの現在の状態」 であったが、子どもの治療の決定に最も影響を与えるものとしては 「両親の希望」 であった。3. 意思決定に参加した経験のある看護師は26.1%であった。参加に関連する要因は、 「東京女子医大のクラス分け」 と 「淀川キリスト教病院のガイドライン」 への認知度であった。以上の結果から看護師に求められる役割として、1. 家族が決定の主体となるために情報を提供し、思いを傾聴することで意思決定の過程をサポートすること、2. 子どもの立場に立った意思決定を行うこと、3. 看護師自身が意思決定に参加していくために、組織として学習システムを構築すること、があげられた。
著者
高橋 洋子 安藤 友里恵 山口 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】 新潟県内の家庭で親しまれてきた郷土料理のうち、これまで研究の対象にされたことが殆どなかった&lsquo;くじら汁&rsquo;に着目した。地域や世代による喫食経験や喫食状況を明らかにするとともに、その背景について検討することを目的とした。<br>【方法】 2012年10~12月に、新潟県内在住の男女を対象にアンケート調査を行い、868名の回答を年代・性別・居住地域に分けて分析した。<br>【結果】 &lsquo;くじら汁&rsquo;について、新潟県内の次のような状況が明らかになった。(1)認知・喫食状況:認知度・喫食経験度とも若い世代ほど低く、70歳以上では全員が「食べたことがある」のに対し、19歳以下では認知度が48%・喫食経験度は21%であった。なお、喫食回数は全ての年代で減少傾向にあり、喫食経験者の62%が「以前に比べて食べる回数が減った」と回答した。これらのことから、鯨肉の流通状況の変化が&lsquo;くじら汁&rsquo;の認知・喫食状況に影響を及ぼしている様子が示唆された。(2)嗜好性:性別では男性に、年齢では年代が高いほど、好まれる傾向にあった。独特のにおいと油っぽさ、食感などにより、好き嫌いが分かれ、喫食経験者のうち「好き」は46%、「嫌い」は24%であった。(3)具材と喫食時期:塩くじらのほか、新潟市周辺では&lsquo;なす&rsquo;、中越地方では&lsquo;ゆうがお&rsquo;が多く使われ、夏に食す人が多かった。一方、下越地方の阿賀町では&lsquo;うるい&rsquo;(山菜)を使用し、春に食す人が多くみられ、地域による使用具材の特徴と、それを反映した喫食時期が明らかになった。今後は、他県の&lsquo;くじら汁&rsquo;と比較するなどして、新潟県の郷土料理としての&lsquo;くじら汁&rsquo;の実態を明らかにしていきたい。
著者
山口 智子 松本 主之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.628, 2017-05-24

定義 cobblestone appearanceは敷石像,敷石様外観とも呼ばれ,Crohn病(Crohn's disease ; CD)の診断基準の主要所見のひとつに挙げられている.多発潰瘍の介在粘膜に玉石状の隆起が多発した状態であり,その呼称はあたかも大小の石を敷き詰めた歩道のようにみえることに由来する(Fig. 1,2)1).cobblestone appearanceは小腸・大腸の活動期CDの特徴とされるが,密在した炎症性ポリープもcobblestone appearanceと呼ばれる.しかし,この際は縦走潰瘍を伴わない.活動期CDでは,敷石像に一致して病理学的には粘膜下層の浮腫と高度の炎症細胞浸潤がみられる.通常,深部大腸にみられることが多く,小腸では典型的なcobblestone appearanceを呈する頻度は低い.しかし,他の小腸疾患でcobblestone appearanceを伴う疾患は少ないため,CDの小腸病変の診断において特異性の高い所見とも言える.高度のcobblestone appearanceは難治化の予測因子でもあり,高度もしくは広範囲のcobblestone appearanceを認める症例では,早期の抗TNFα抗体などの治療選択が必要と考えられる.
著者
小谷 スミ子 今井 友里子 山口 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】日本農林規格によると、パン粉は「小麦粉またはこれに穀粉類を加えたものを主原料とし、これにイーストを加えたものまたはこれらに食塩、野菜及びその加工品、砂糖類、食用油脂、乳製品等を加えたものを練り合わせ、発酵させたものを焙焼等の加熱をした後、粉砕し、乾燥したものまたはしないもの」であり、市販パン粉の原材料および組成はさまざまである。パン粉を使ったフライのおいしさは、サクサクとした食感によるところが大きい。本研究では、揚げパン粉のサクサク感を破断強度測定から得られた破断曲線の微分データを用いて数値化することを試みた。また官能評価との関連も検討した。【方法】試料は市販の米パン粉(生8種、乾燥4種)と小麦パン粉(生4種、乾燥4種)を用いた。吸油率は全国パン粉工業協同連合会による方法で、色調は色彩色差計CR-200b(ミノルタカメラ(株))で測定した。破断強度はクリープメーターRE-3305((株)山電)で測定し、解析は破断強度解析Windows Ver.2.0(BAS-3305(W))によった。さらに、官能評価により特性を調べた。【結果】180℃で2分間揚げたパン粉のサクサク感を次の計算式で求めた。微分データ計算値=√Σ(Xi^2*n) 但し、Xi:破断曲線から得られた各微分値(gf/%)、n:各微分値の測定開始から終了までの集計結果(個)。得られた微分データ計算値は、米パン粉の場合670~1200(gf/%)の範囲に分布し、生パン粉でも乾燥パン粉でも製品により大きく異なった。一方、小麦パン粉は620~760(gf/%)の範囲に分布し、いずれの製品も近い値が得られた。微分データ計算値の異なるパン粉の官能評価では関連性が認められた。
著者
高橋 洋子 安藤 友里恵 山口 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成25年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.152, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】 新潟県内の家庭で親しまれてきた郷土料理のうち、これまで研究の対象にされたことが殆どなかった‘くじら汁’に着目した。地域や世代による喫食経験や喫食状況を明らかにするとともに、その背景について検討することを目的とした。【方法】 2012年10~12月に、新潟県内在住の男女を対象にアンケート調査を行い、868名の回答を年代・性別・居住地域に分けて分析した。【結果】 ‘くじら汁’について、新潟県内の次のような状況が明らかになった。(1)認知・喫食状況:認知度・喫食経験度とも若い世代ほど低く、70歳以上では全員が「食べたことがある」のに対し、19歳以下では認知度が48%・喫食経験度は21%であった。なお、喫食回数は全ての年代で減少傾向にあり、喫食経験者の62%が「以前に比べて食べる回数が減った」と回答した。これらのことから、鯨肉の流通状況の変化が‘くじら汁’の認知・喫食状況に影響を及ぼしている様子が示唆された。(2)嗜好性:性別では男性に、年齢では年代が高いほど、好まれる傾向にあった。独特のにおいと油っぽさ、食感などにより、好き嫌いが分かれ、喫食経験者のうち「好き」は46%、「嫌い」は24%であった。(3)具材と喫食時期:塩くじらのほか、新潟市周辺では‘なす’、中越地方では‘ゆうがお’が多く使われ、夏に食す人が多かった。一方、下越地方の阿賀町では‘うるい’(山菜)を使用し、春に食す人が多くみられ、地域による使用具材の特徴と、それを反映した喫食時期が明らかになった。今後は、他県の‘くじら汁’と比較するなどして、新潟県の郷土料理としての‘くじら汁’の実態を明らかにしていきたい。
著者
高村 仁知 山口 智子 林 恵里奈 藤本 さつき 的場 輝佳
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1127-1132, 1999

スパイスと野菜・肉類を調理して, カレーライスを作るまでの各過程におけるラジカル捕捉活性の変化をDPPH-HPLC法により解析した.カレーに用いられる15種類のスパイスのスクリーニングを行った結果, すべてにラジカル捕捉活性がみられ, 特に, クローブ, オールスパイス, シナモンに高い活性がみられた.野菜類と比較してもその活性は同等以上であった.カレーの調理過程では, 野菜・肉を合わせた具では加熱により活性が増加した.一方, 調合スパイスでは加熱により活性の減少がみられた.カレーではスパイスだけでなく野菜もその活性に大きく寄与していた.本研究のカレーライス1食分は363μmol Troloxeqの活性を有し, カレーライスの全ラジカル捕捉活性に対するスパイスの占める割合は, およそ45%であった.
著者
山口 智子 山口 昌一 後迫 江理奈 小林 充 高橋 浩
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.606-610, 2017-09-15 (Released:2017-10-20)
参考文献数
10

巨大腹部腫瘍摘出術の麻酔管理では,特に呼吸・循環管理に注意を要し,腫瘍が大きいほどその管理に難渋する.今回,われわれは腫瘍重量約70kgの超巨大卵巣腫瘍摘出術の麻酔管理を経験した.症例は37歳女性,左卵巣摘出術の既往があった.入院時,貧血,酸素飽和度(SpO2)の低下と軽度の拘束性換気障害以外に大きな合併症はなかったが,腹囲が大きすぎるためMRI等の術前検査を十分に行うことができなかった.導入時の低酸素血症と再膨張性肺水腫を念頭に呼吸管理を行い,心拍出量,1回拍出量変化,中心静脈圧を指標としながら循環管理を行った.気道確保器具の選択や,術後呼吸器合併症にも注意が必要であった.
著者
大口 敬 山口 智子 鹿田 成則 小根山 裕之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_1175-I_1183, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
8

交通信号制御における切替り時の損失時間は,交差点円滑性指標の遅れに影響を与え,また交通安全上も重要である.切替り時における損失時間の開始と終了(有効青時間の終了と開始)のタイミングは,これまでほとんど研究されていない.損失時間を厳密に評価することが,より安全で効率的な交通信号制御に繋がる.本研究では,青丸表示から右折矢印表示への切替り時に着目し,飽和交通流,最終車と先頭車の通過タイミング,および青丸表示時に右折車が停止線を越えて交差点内に滞留するスペース長などの幾何構造を調べ,損失時間と有効青時間を分析する.幾何構造の異なる5交差点の分析から,右折専用現示前には損失時間ではなく有効青時間が重なるゲインが存在することを実証し,このゲインの大きさを交差点形状から推定する方法を提示する.
著者
高村 仁知 山口 智子 林 恵理奈 藤本 さつき 的場 輝佳
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1127-1132, 1999-11-15
被引用文献数
11

The change in radical-scavenging activity while cooking curry made from spices, vegetables, and meat was analyzed by the 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl-HPLC method. Fifteen kinds of spices generally used in curry all possessed radical-scavenging activity. In particular, the activity of clove, allspice, and cinnamon was extremely high and comparable with that of vegetables. After heating, the radical-scavenging activity of the combination of vegetables and meat increased, while that of mixed spices decreased. Vegetables as well as spices contributed the radical-scavenging activity of curry. In the present research, one serving of curry and rice contained 363 μmol Trolox eq of radical-scavenging activity. The spices contributed approximately 45% of the total radical-scavenging activity of curry and rice.
著者
山口 智子 大樌 春菜 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.101, 2011

【目的】小麦粉の代替品として米粉に注目が集まる中、昨今、米粉パンから製造した米パン粉が開発されている。縁者らはこれまでに、市販されている種々の米パン粉と小麦パン粉について、フライ調理過程における吸油率の比較を行い、米パン粉の吸油率が小麦パン粉に比べて低いことを明らかにしている。本研究では、パン粉の粒度による吸油率や着色度の相違を明らかにすることを目的とした。<BR>【方法】試料として、米パン粉(生)、小麦パン粉(生)、市販小麦パン粉(乾燥)2種を用いた。米パン粉(生)と小麦パン粉(生)は、原材料とその配合割合ができるだけ同じになるようにパンを焼成し、常温で72時間経過後にフードプロセッサーで粉砕、粒度2、3、4mmのパン粉を作成した。水分は常圧乾燥法で、吸油率は全国パン粉工業協同連合会2008による簡易測定法で、着色度は色彩色差計で測定した。また、米パン粉と小麦パン粉を用いたハムカツについて、5段階評点法による官能評価を行なった。<BR>【結果】米パン粉(生)の吸油率は約30%であり、小麦パン粉(生)より吸油率に低い傾向がみられた。米パン粉(生)では粒度によって吸油率に相違はみられなかったが、小麦パン粉では粒度の小さい方が吸油率が低かった。フライ調理後の着色度については、米パン粉(生)は小麦パン粉より明度L<SUP>*</SUP>が低く、赤味a<SUP>*</SUP>が強く、黄味b<SUP>*</SUP>が弱くなる傾向があった。また、全パン粉において粒度の小さい方が明度L<SUP>*</SUP>が高く、黄味b<SUP>*</SUP>が強い傾向がみられた。粒度3mmのパン粉を用いたハムカツの官能評価の結果、米パン粉のフライは小麦パン粉のフライに比べて衣の色が濃く、衣がかたく、口当たりがやや悪いものの、味が良く総合評価も高かった。
著者
玉木 有子 伊藤 直子 佐藤 恵美子 立山 千草 太田 有子 伊藤 知子 松田 トミ子 山田 チヨ 長谷川 千賀子 山口 智子 小谷 スミ子 渡邊 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】平成24~25年度日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』の一環として新潟県村上市の食と行事の結びつきについて調査を行った。郷土料理や伝統的な食の文化が親から子へ伝承されにくい傾向がある状況の中で、年中行事や慣わしが現代に受け継がれてきた村上市の現状を報告する。<br> 【方法】村上市在住の75~88歳の高齢者(平均80.5歳)から平成25年11月~平成26年3月に聞き書き調査を行い、村上市の史料館や歳時記を参考に現代に伝え継がれている年中行事、慣わしに関する食と行事の結びつきを調査した。<br> 【結果】昭和34年頃までは旧暦が用いられ、現在も名残が残る。季節毎の年中行事や慣わしが多く受け継がれており、主に祭事に関する料理が残っている。神社の信仰により伝承されてきた村上大祭(7月7日)(村上地区) 、瀬波大祭(9月4日)(瀬波地区)、岩船大祭(10月19日)(岩船地区)の3大祭りの他、稲荷神社の初午(2月の第1の午の日)、七夕祭り(8月16日)、地蔵堂の地蔵祭り(11月3日)などは今日まで受け継がれており、市民生活の潤いとなっている。初午では、粳米に小豆を入れて炊いた小豆飯、糠鰯、三角油揚げ、煮しめなどを食べる。古くは米俵のサンバイシにのせて地域のお稲荷様に供えた。節分では、まいた豆を保存し厄除け代わりに一年中食べる慣習がある。この他にも鮭を特別な魚(魚の中の魚)として大切に食しており、村上市の食と行事の結びつきには精神性の高い食の文化が伝え継がれている。
著者
大矢 智子 熊田 早紀 明神 千穂 庄子 佳文子 稲熊 隆博 山口 智子 高村 仁知 的場 輝佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.118, 2004

【目的】野菜類には活性酸素・フリーラジカルを消去し、ガンや生活習慣病を予防するポリフェノールやアスコルビン酸などの成分が多く含まれている。野菜は生食するよりも加熱調理した方が、より多く摂取することができる。本研究では、イタリアの代表的な野菜料理であるミネストローネを取り上げ、その調理過程におけるラジカル捕捉活性の変化について、アスコルビン酸量と総ポリフェノール量の変化と併せて検討した。また、加熱方法による違いについても検討した。<br>【方法】トマト・キャベツ・タマネギ・ズッキーニ・ナスを素材とし、調味料としてコンソメ・塩・コショウを用いたミネストローネを、ガスコンロおよび電子レンジで調理した。調理前後の素材とスープについて、ラジカル捕捉活性をDPPH-HPLC法により、総ポリフェノール量をFolin-Ciocalteu法により、アスコルビン酸量をHPLC法により測定した。<br>【結果】調理後のミネストローネのラジカル捕捉活性は、生の素材に比べて約80%に減少した。また、ミネストローネのアスコルビン酸量は生の素材に比べて約45%に減少したが、総ポリフェノール量は約85%残存していた。活性成分の約半分はスープ中に存在していた。5種類の素材の中で、トマトにおいてラジカル捕捉活性、アスコルビン酸量、および総ポリフェノール量の変動が大きく、最も加熱による影響を受けやすい野菜であることがわかった。ガスおよび電子レンジによる加熱を比較した結果、両者の違いはほとんどみられなかった。現在、個々の野菜に対する各調味料の影響を検討中である。
著者
佐藤 恵美子 松田 トミ子 山田 チヨ 渡邊 智子 山口 智子 伊藤 知子 伊藤 直子 太田 優子 小谷 スミ子 立山 千草 玉木 有子 長谷川 千賀子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じた聴き取り調査結果から、昭和35~45年頃までに定着した新潟県のおやつについて報告する。<br />【方法】村上、新潟、長岡、柏崎、魚沼、上越、佐渡の7地域のおやつについて検討した。<br />【結果】新潟県は米を中心とした主食の豊かな食文化があり、うるち米、もち米、くず米、米粉を使ったものが多く、おやつにも主食と類似した文化がみられた。うるち米を使ったものには、おにぎりに生姜味噌をつけて焼いた「けんさん焼き」(魚沼)、米を二度炊きにしてから搗いた「にたて餅」(村上)があった。もち米を使った「餅」はきな粉や砂糖醤油をつけて頂き、「あんこ雑煮(おしるこ)」や「あられ」・「かたもち」(新潟)にして食された。米麹から作る「甘酒」(新潟)、灰汁に漬けたもち米を笹の葉で巻いた「灰汁笹巻」(村上)も特徴的である。もち米や米粉を使ったものには、新潟県の特産品として親しまれている「笹団子」(新潟・県全域)があり、中に餡を入れたものだけでなく、ひじきやあらめの煮物を入れたものも食された。新潟県のおやつには笹の葉を用いたものが特徴的であり、笹団子の他に「三角粽」(柏崎・県全域)や「笹餅」(魚沼)などがあり、地域により笹の用い方に違いがみられた。くず米の利用として、あんや大根菜を入れた「あんぼ」(魚沼)、「おやき」(柏崎)、「みょうが団子」(上越)などがある。佐渡では米粉を使ったものとして、雛祭りには「おこしがた」、釈迦祭りには「やせうま」、ケの日には「とびつき」が食べられていた。その他のおやつに含まれるものに「バタバタ茶」(上越)があり、糸魚川市で泡立てた番茶をいただく風習があった。
著者
山口 智子 大樌 春菜 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.101, 2011 (Released:2011-09-03)

【目的】小麦粉の代替品として米粉に注目が集まる中、昨今、米粉パンから製造した米パン粉が開発されている。縁者らはこれまでに、市販されている種々の米パン粉と小麦パン粉について、フライ調理過程における吸油率の比較を行い、米パン粉の吸油率が小麦パン粉に比べて低いことを明らかにしている。本研究では、パン粉の粒度による吸油率や着色度の相違を明らかにすることを目的とした。【方法】試料として、米パン粉(生)、小麦パン粉(生)、市販小麦パン粉(乾燥)2種を用いた。米パン粉(生)と小麦パン粉(生)は、原材料とその配合割合ができるだけ同じになるようにパンを焼成し、常温で72時間経過後にフードプロセッサーで粉砕、粒度2、3、4mmのパン粉を作成した。水分は常圧乾燥法で、吸油率は全国パン粉工業協同連合会2008による簡易測定法で、着色度は色彩色差計で測定した。また、米パン粉と小麦パン粉を用いたハムカツについて、5段階評点法による官能評価を行なった。【結果】米パン粉(生)の吸油率は約30%であり、小麦パン粉(生)より吸油率に低い傾向がみられた。米パン粉(生)では粒度によって吸油率に相違はみられなかったが、小麦パン粉では粒度の小さい方が吸油率が低かった。フライ調理後の着色度については、米パン粉(生)は小麦パン粉より明度L*が低く、赤味a*が強く、黄味b*が弱くなる傾向があった。また、全パン粉において粒度の小さい方が明度L*が高く、黄味b*が強い傾向がみられた。粒度3mmのパン粉を用いたハムカツの官能評価の結果、米パン粉のフライは小麦パン粉のフライに比べて衣の色が濃く、衣がかたく、口当たりがやや悪いものの、味が良く総合評価も高かった。
著者
山口 智子 石田 晴香 小谷 スミ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.50, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】近年、日本人は脂肪の取り過ぎの傾向にあり、揚げ物などの摂取を避ける人が増加している。揚げ物は、衣の適度な焦げと独特の香りが食欲をそそり、旨味成分やビタミン類などの損失が少ない利点があり、健康を考えた揚げ物への関心が高まっている。そこで本研究では、近年開発された米粉パンから製造した米パン粉のフライ調理過程におけると吸油率と物性変化を測定することで健康志向にかなった製品となりうるのかどうかを検討することを目的とした。 【方法】試料は市販の米パン粉(生2種、乾燥2種)と小麦パン粉(生4種、乾燥4種)を用いた。水分は常圧乾燥法(105℃)で、吸油率は全国パン粉工業協同連合会2008による簡易測定法で、テクスチャーは(株)山電製卓上型物性測定器TPU-2S(B)を用いて測定した。また、米パン粉と小麦パン粉を用いたエビフライについて、5段階評点法による官能評価を行なった。 【結果】180℃で2分間の揚げ調理操作をしたパン粉の吸油率は米パン粉29.3~50.9%、小麦パン粉47.3~81.9%となり製品により大きく異なったが、米パン粉の吸油率は小麦パン粉より低いことが明らかとなった。硬さは製品により差が大きく、米パン粉と小麦パン粉の相違は認められなかった。吸油率の低い米パン粉と有意に高い小麦パン粉を選んで揚げたエビフライの官能評価では、総合的に有意差は認められなかった。以上の結果から米パン粉は小麦パン粉より吸油率が低く健康志向にかなった製品と考えられる。
著者
山口 智子 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

【目的】新潟県では米粉の消費拡大による食糧自給率の向上を図っており、米粉パンや麺類、クッキーなど米粉を使った食品が数多く開発されている。これまでに演者らは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いたアレルゲンフリー米粉パンの製造方法を確立している。本研究では、このHPMCの膨化作用を米粉ドーナツの製造に応用し、玄米粉を配合した米粉ドーナツの吸油率、硬さ、おいしさについて検討を行った。<br>【方法】白米粉はH21年度新潟県産コシヒカリDKタイプ(新潟製粉(株))を、玄米粉はH21年度新潟県産コシヒカリ((株)新生バイオにて製粉)を、増粘剤HPMCはSFE-4000(信越化学工業(株))を使用し、白米粉に対して玄米粉0、25、50、75、100%配合したドーナツを製造した。比較対象として小麦粉ドーナツも製造した。ドーナツメーカーで成形後、180℃のサラダ油で4分間揚げ、吸油率の測定と官能評価を行った。さらに、常温保存および冷凍保存したドーナツの硬さを、卓上型物性測定器(TPU-2S(B)、(株)山電)にて測定した。<br>【結果】吸油率は米粉ドーナツで約18%、小麦粉ドーナツで約26%となり、米粉ドーナツの方が有意に吸油率は低かった。玄米粉の配合割合の違いによる有意差は吸油率にはみられなかったが、硬さに関しては、玄米粉の配合割合が50%以上になると有意に硬くなった。官能評価において、外観の色は玄米粉の配合割合が高いほど悪いと評価され、総合的なおいしさでは玄米粉を25%配合した米粉ドーナツが好まれる傾向にあった。米粉ドーナツは常温で保存すると硬化が進むが、冷凍保存することにより硬化が抑制される傾向がみられた。
著者
山口 智子
出版者
The Japan Society of English Language Education
雑誌
全国英語教育学会紀要 (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.83-91, 1999 (Released:2017-05-01)
被引用文献数
1

It is generally thought that it is difficult for Japanese EFL learners to comprehend language information only by auditory input because their priority in learning is written English, and so they depend more on visual language than auditory language. By examining the word translation latency of an English word presented by a computer as auditory stimulus, it was evident that good listeners can answer more rapidly and exactly than poor listeners in conditions of both high frequency words and low frequency words (Yamaguchi 1997). Therefore, the effects of training given to poor listeners for two months were measured in order to examine whether listening comprehension would be improved or not if the speed of word recognition becomes rapid. The results were that their speed became more rapid, and furthermore their listening comprehension also increased. The importance of increasing the speed of word recognition in listening instruction for poor learners was therefore supported.
著者
野呂 志津子 山口 智子 佐藤 奈津美 猪股 里美 成田 全 松江 聖乃 川崎 くみ子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.59-63, 2013-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究は,ボックスシーツのずれやしわの発生状況を従来のシーツ (以下,基準シーツ) と比較検証することにより,ボックスシーツのほうがしわやずれが少なく使用していくことができるかを明らかにすることを目的とした.健康成人女性22名 (平均年齢24.0±3.0歳) を対象に,ずれ測定部位に印をつけたボックスシーツと基準シーツを用い,60分臥床と30分ヘッドアップを行い,おのおのずれとしわを測定した.結果,両シーツともベッドに対し横方向にくらべ,縦方向のずれが大きく,シーツ中央のしわは他のエリアよりも有意に多かった (p <0.05).ヘッドアップ時はシーツ下方より上方のしわが有意に多く (p <0.05),上方より下方のずれが有意に多かった (p <0.05).臥床時のしわはシーツ中央と下方でボックスシーツが有意に少なかった (p <0.05).以上より,頭側が袋状になりベッドメーキング時足元を適度な力で牽引できるボックスシーツは基準シーツにくらべ,外観上しわが少なく,ずれは同様であり,患者が療養生活を行ううえでボックスシーツも活用できると確認できた.