著者
呉 宣児 大沼 久夫 徐 相文
出版者
共愛学園前橋国際大学
雑誌
共愛学園前橋国際大学論集 (ISSN:2187333X)
巻号頁・発行日
no.17, pp.71-90, 2017-03-31

植民地期(日帝強占期)に、日本人が韓国に渡って集住し、日本人町を形成していた。植民地解放(終戦)後、日本人は突然日本に戻ることになり、そこには韓国人が入り住むことによって、日本的な雰囲気は自然に色褪せたかわざと壊してきた経緯がある。しかし、近年韓国では「暗い歴史も歴史として直視する」という考え方を持ち、かつての日本人集住地区や日本的な建築物を修理・復元して観光や教育の素材として活用する動きが出てきた。代表的には、西海岸の群山市と東南部海岸の浦項市の九龍浦地域である。本研究ノートでは、1)慶尚北道の浦項市の九龍浦地域を取り上げ、フィールドワークによって見えてきた現況を整理し、2)かつての日本人集住地区・建築物の再整備について現地の行政と住民が考える意味や議論されている内容を考察することを目的とする。これらの作業は、かつての日本人居留地である九龍浦に住んでいた人々(日本人と韓国人)や現在そこに住んでいる人々にとっての原風景を検討していくための準備過程として意義がある。研究ノート