著者
水野 香織 成瀬 智 小林 充 御室 総一郎 小幡 由佳子 土井 松幸 佐藤 重仁
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.253-256, 2015-07-01 (Released:2015-07-10)
参考文献数
10

急性大動脈解離の保存的治療に鎮痛,降圧,安静のための基本薬剤としてデクスメデトミジン(dexmedetomidine, DEX)を使用した。【対象】2010年1月から2012年2月に,当院ICUにて保存的治療を実施した急性大動脈解離の14症例。【方法】鎮痛鎮静,降圧,脈拍調節のための併用薬剤,気管挿管の有無を後ろ向きに検討した。【結果】DEXは0.07~0.79μg/kg/hrで投与し,投与期間は132±56時間であった。併用薬剤は,塩酸ニカルジピン0.008~0.14 mg/kg/hr(14症例)の他,塩酸ランジオロール(5症例),フェンタニル(9症例),ニトログリセリン(3症例)であった。夜間睡眠確保のためにハロペリドールを6症例,リスペリドンを2症例で併用した。全症例を気管挿管なしに治療できた。【結語】急性大動脈解離の保存的治療の基本薬剤としてDEXは有用であった。