著者
足立 裕史 牧野 洋 三条 芳光 佐藤 重仁
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.929-934, 2008-11-14 (Released:2008-12-13)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

【背景】血液型がO型の患者は第 VIII 凝固因子, von Willebrand Factorが低値で, 術中出血の多い可能性が報告されている. 当院手術患者の過去10年間の傾向を調べた.【方法】麻酔データベースから症例を抽出し, 年齢, 性別, 身長, 体重, 手術時間のほか, 非O型あるいはO型かで多変量解析を実施した. また, 下位解析として, 幽門側胃切除, 単純子宮全摘術, 股関節人工関節置換術, 帝王切開術の症例を抽出し, 出血量の差異を検討した.【結果】15,857例について検討したところ, 年齢 (回帰係数: -0.63g/yr) , 性別 (女性で回帰係数+62g/sex) , 体重 (+2.1g/kg) , 手術時間 (+85g/hr) が有意な寄与因子として選択された. 血液型は下位解析を含めたいずれの検討においても有意な説明変量とはならなかった.【結論】O型でも出血量は臨床的に差異がないと考えられた.
著者
水野 香織 成瀬 智 小林 充 御室 総一郎 小幡 由佳子 土井 松幸 佐藤 重仁
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.253-256, 2015-07-01 (Released:2015-07-10)
参考文献数
10

急性大動脈解離の保存的治療に鎮痛,降圧,安静のための基本薬剤としてデクスメデトミジン(dexmedetomidine, DEX)を使用した。【対象】2010年1月から2012年2月に,当院ICUにて保存的治療を実施した急性大動脈解離の14症例。【方法】鎮痛鎮静,降圧,脈拍調節のための併用薬剤,気管挿管の有無を後ろ向きに検討した。【結果】DEXは0.07~0.79μg/kg/hrで投与し,投与期間は132±56時間であった。併用薬剤は,塩酸ニカルジピン0.008~0.14 mg/kg/hr(14症例)の他,塩酸ランジオロール(5症例),フェンタニル(9症例),ニトログリセリン(3症例)であった。夜間睡眠確保のためにハロペリドールを6症例,リスペリドンを2症例で併用した。全症例を気管挿管なしに治療できた。【結語】急性大動脈解離の保存的治療の基本薬剤としてDEXは有用であった。
著者
星 拓男 須賀 明彦 熊谷 恵 宮部 雅幸 佐藤 重仁
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.609-612, 1996-09-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
8

患者は24歳女性.誤って漂白剤を浴び,アルカリ腐食性角膜潰瘍のため入院した.入院後,角膜穿孔と角膜移植を繰り返し,合計7回の角膜移植を受けた.この間痛みは,角膜の状態悪化とともに増悪し,ブプレノルフィンの筋注を最高1日6回まで必要とした.しかし薬物血中濃度から内服が守られていないことがわかり,痛みを訴える一方で,安静を守らないなど不審な点も多く,心理的要因を疑い精神科を受診したところ虚偽性障害が疑われた.薬物療法,面接,行動療法を行なったところ,それまでの痛みはブプレノルフィンを筋注して欲しいための嘘であったことがわかった.慢性痛を訴える患者では,チーム医療および精神科的アプローチの重要性を痛感した.
著者
金子 真弓 桐田 泰江 望月 利昭 佐藤 重仁
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生: 日本蘇生学会雑誌 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.7-14, 2009

学生advanced cardiac life support (ACLS) ワークショップ (WS)は医学生が自主開催する救急救命処置講習会である。東海地区では現在までに15回開催し,総受講者数は315名である。我々は浜松医科大学にて第14回東海地区WSを開催した。また,約1ヶ月後にメーリングリスト (ML)を介してアンケート調査を行った。<br> アンケート実施対象MLの参加者は東海WS ML 306名,関西WS ML 525名,第8回金沢WS外部連絡ML 95名,および鳥取WSスタッフML 241名だった。各地のMLに重複加入している医学生が多いため,アンケート実施対象者の総人数は正確には把握できなかった。17大学から28名の回答者があった。インストラクター参加した動機としては,繰り返し教えることによる知識と技能定着のためが最も多く,主要な問題点として,費用と時間の問題があげられた。WSに参加する動機付けを強化するために,先輩医師,大学教官による内容の監修や統一したWSコンセンサスを作成することで,間違ったことを教えているのではないかという不安や事前準備の負担を軽減することが望まれる。