著者
百合野 公庸 徳富 康男 田山 文隆 無敵 剛介
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.172-177, 1986-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

健康者に, 合谷―手三里鍼通電を行ない無侵襲計測法により末梢循環動態の経時的変化を追究した。循環動態諸量は, すべて増加傾向を認めた。すなわち, 最高の変化量 (mean±SE) は, 橈側皮静脈血流量156.25±40.81(%), 指先部毛細血管血流量112.4±9.14(%), 両側手掌深部体温 (右) 100.66±1.36(%), (左) 100.60±1.25(%), 1回拍出量116.33±11.57(%) であった。各最高値を示す時点は, 鍼通電後10~30分の間に認められた。1回拍出量の変化に関しては, 3.5%修飾ゼラチン溶液0.4ml/kg/minの急速輸液時の循環動態の変化に相当することが認められた。手掌深部体温の上昇は, 鍼通電後5~10分後に認められ両側性に認められることから, その中枢性機序が示唆された。