著者
西澤 秀治 鈴木 一実 刀川 信幸 貫井 昭徳 熊丸 貴俊 塩路 康信 三角 芳文 満 純孝 徳江 章彦
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.537-541, 2000-06-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
22
被引用文献数
1

(目的) Vanishing testis 症例を手術所見と組織学的所見で分析し, 診断と治療方針につき検討を行った.(対象と方法) 1974年から1999年3月までの間に経験した停留精巣症例は378例453精巣, そのうち非触知精巣は107例, 115精巣 (左67, 右32, 両側8) であった. 非触知精巣に対する手術は, 鼠径部で横切開し腹腔内まで検索した. 1993年以降腹腔鏡を施行した. 52例で精管, 精巣血管を認め vanishing testis と診断した. 精索または小塊は切除し組織学的に検討した.(結果) Vanishing testis 52例の患側は左41例右9例両側2例であった. 小塊は35例に認め, 小塊の長径は35例中24例で5mm以下であった. 小塊または精索の先端は, 52例中34例が鼠径管以下の鼠径部, 8例が陰嚢内に存在した. 小塊27例, 索状物の試験切除16例の43例において組織学的検討を行った. 精管を31例, 精巣上体を11例に認めた. 精巣組織は2例にみられ, ともに germ cell を伴わない精細管であった. 12例の vanishing testis の腹腔鏡所見では, 7例で健側に比較し低形成の精巣血管がみられた.(結論) 精巣組織を認めたものは vanishing testis の4.7%, 小塊の中では7.4%であり, 文献上は0~16%であった. 非触知精巣で触診や術前画像診断で鼠径部に精巣類似の腫瘤がなく, 腹腔鏡で vanishing testis に適合する所見がえられた場合, 鼠径管に精巣が存在する可能性は低い. Vanishing testis では germ cell を含むことは稀で, 悪性化予防は, 鼠径部での小塊切除の積極的な理由とはならないと考えられた.
著者
田中 成美 原 暢助 森田 辰男 石川 真也 森口 英男 小林 裕 戸塚 一彦 大場 修司 徳江 章彦 米瀬 泰行
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.1927-1932, 1984-12-20

自治医科大学泌尿器科において,1974年4月15日の開院より9年間に尿路変向術が施行された症例は100例で,男子78例,女子22例,男女比は3.5対1であった.最年少者は4歳,最年長は84歳,平均年齢は60.2歳であった.原因疾患は膀胱腫瘍76例,子宮癌6例,尿道癌4例,前立腺癌3例その他の悪性腫瘍3例で良性疾患は8例であった.施行された尿路変向術は,膀胱瘻造設術8例,腎瘻造設術7例,カテーテル尿管皮膚瘻造設術56例,回腸導管造設術9例,尿管S状結腸吻合例であった.100例全例の5年相対生存率は51.2%で,膀胱移行上皮癌のため膀胱全摘術を施行した53例の5年相対生存率は58.7%であった.膀胱全摘術とともに尿路変向術を行った61例の術後死亡率は4.9%であった.これらの膀胱全摘術の症例の術後早期合併症及び晩期合併症について尿路変向術式別に比較,検討した.