著者
志智 莉永 井坂 行男
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.19-26, 2017-02

本研究では,聴覚障害児に対する音楽科指導の現状や今後の在り方を検討するために,聴覚特別支援学校小学部の音楽科指導に関する質問紙調査を実施した。第一次調査の結果,音楽科の4つの活動のうち音楽づくりの活動の実施率の低さ,指導の際の音の聴取における困難及び指導方法等での困難が多く挙げられた。また,活動毎の内容に関連する効果が児童に認められること等も明らかになった。第二次調査の結果,拡大楽譜や映像といった視覚的な教材の使用が,児童の理解や関心を促せること,理解度や授業に取り組む態度を重視する個人評価が実施されていることが分かった。聴覚障害児に対する音楽科指導の一層の充実には(1)ICT機器の充実度の違い,(2)教員間での情報交流の場の設定,(3)4つの活動毎の実施率のばらつき,という3点が課題と考えられた。