著者
成松 美枝 和久屋 寛
出版者
佐賀大学教育学部
雑誌
佐賀大学教育学部研究論文集 (ISSN:24322644)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.43-61, 2022-02

本論文では,佐賀県内の公立学校でICT を活用した教育の方法がどのように導入され,発展してきたのかを明らかにすることを課題とした。佐賀県では県教育委員会により,2011年度から佐賀県ICT 利活用教育推進事業を開始したが,2015年度までの5年間に約42億円を投じて県立学校の全教室に電子黒板を設置し,全生徒に1人1台の学習用パソコンを配備した。ICT 活用の目的は,情報化・グローバル化への対応だけでなく児童・生徒の学力テスト結果の向上と,災害時と感染症流行時の遠隔授業による家庭学習を支援するための手段とすることであった。また,2017年度からは全市町立学校でも事業を拡大し,2021年度には全市町立学校で全教室での電子黒板設置と1人1台学習用パソコンの配備が実現した。ICT を活用の利点としては,実証研究校である致遠館中学校と高等学校の授業に見られるように,①電子黒板で映像を効果的に提示することで生徒の学習意欲・関心を高めること,②生徒が学習用パソコンから自分の意見や回答を送信し,電子黒板で共有することで「他者との学びあい」が強化できる,③生徒が学習用パソコンで作成したワークシート等を教員が管理し,全体で共有できることである。しかし,今後の課題として,佐賀県児童生徒の全国学力調査のテストの得点は全国平均値を下回ること,学習用パソコンの充電不備や故障トラブル,教員の研修時間の確保の困難が指摘された。
著者
成松 美枝 菅野 文彦 梅澤 収 山崎 準二
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は「高い適格性を持つ教師(Highly Quality Teachers)」を確保するためにアメリカの大学は教師教育においてどのような改革を進めているのか、その実態と評価を明らかにすることを目的とした。ウィスコンシン州立大学を事例にして以下の事項を分析・評価した。(1)教員養成のカリキュラムと「修了認定の学生評価」の実態と効果 (2)「教員免許の更新」に際して各教員が大学で行う「単位取得(6単位)」と「職能成長計画」に対する大学の支援体制 (3)他州の大学との比較の上で、ウィスコンシン州立大学の教員養成と研修への支援体制を総合評価した。