著者
小川 七世 菅野 重範 成田 渉 鈴木 匡子
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.152-163, 2021-09-25 (Released:2021-10-13)
参考文献数
64
被引用文献数
1

LPAの臨床診断基準が2011年に発表されてから約10年が経った.この間,LPAに関する英語論文は400本を越える.しかし中核症状に喚語困難と復唱障害という失語症ならば多くに認められる症状が挙げられていることもあり,臨床の現場においてLPAは,特徴的な言語症状を見出しづらく,いまだにわかりにくい概念であるといえよう.よって本論では,まず日本語話者の既報告からLPAの言語症状の特徴を整理して示す.また経過とともに出現してくる,言語症状および言語以外の症状についても言及する.最後に,最近の話題であるLPAとDLBの関係や,新たな診断基準に向けた動きについても紹介する.
著者
成田 渉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.171-180, 2020-06-30 (Released:2021-07-01)
参考文献数
28

認知症性疾患として最多を占めるアルツハイマー病には記憶障害を主症状としない一群が存在する。 このうち, logopenic progressive aphasia (LPA) は左半球の機能低下を反映し, 喚語困難に加え, 句や文の復唱障害として表現される言語性短期記憶の障害を特徴とする。Posterior cortical atrophy (PCA) は後頭葉から頭頂葉および後頭葉から側頭葉の機能低下によって視空間認知障害, 対象認知の障害などを生じる。  片側の障害が多い脳血管障害と比較して, 左右差があっても基本的に両側性障害である神経変性疾患では両側の大脳半球損傷でみられる症状を認めやすい。視空間認知機能の側性化は言語機能に比べて弱く, 同時失認のように両側性の障害で顕在化する症状は, 神経変性疾患では比較的生じやすくなる。脳血管障害では検討の場面が限られていた認知機能の側性化について, 神経変性疾患の症状は新たな検討の機会を与えるものになると考えられる。