著者
野村 希代子 戸松 美紀子 杉山 寿美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>生活習慣病の増加により塩分量の減少が求められ,具体的な方法として薬味の利用等が挙げられている.我々は,これまでに,薬味(吸い口)として,レモン外皮を含む汁物の塩味の嗜好性について検討し,低濃度の汁が許容されることなどを明らかにしている<sup>1</sup><sup>)</sup>.本研究では,ねぎを含む汁物の塩味の嗜好性について,飯を組み合わせた条件で検討した. <br> <b>方法 </b>官能評価は,塩分濃度0.4-0.9%のねぎを含むみそ汁あるいはすまし汁(各6種類,提供温度60℃)を試料とし,0.4%から順に高濃度へ評価させた.さらに,みそ汁に白飯,すまし汁に桜飯(0.6%塩分)を組み合わせ,汁物として最も好ましい塩分濃度と,汁物として許容できる塩分濃度(複数回答)を選択させた.なお,飯と汁の食べる順序に汁の評価が影響されることから「飯の次に汁」の評価と「汁の次に飯」の評価を行った. <br> <b>結果 </b>みそ汁では,各塩分濃度のねぎを含む汁を許容できるとした者は,ねぎを含まない汁と比較して,高濃度の汁で多く,白飯と組み合わせた「汁の次に飯」の評価でも,同様の傾向であった.すまし汁では,各塩分濃度のねぎを含む汁を許容できるとした者は,ねぎを含まない汁と比較して,ねぎを含むことによる影響は小さかった.一方,桜飯と組み合わせた「汁の次に飯」の評価では,低濃度の汁で許容できる者が多かった.ねぎを含むみそ汁に白飯,ねぎを含むすまし汁に桜飯を組み合わせた「飯の次に汁」の評価では,ねぎを含むことによる影響は小さかった.このことから,吸い口の種類により,汁物の塩味の嗜好性への影響が異なることが示された.<br> &nbsp;1)角田他;日本調理科学会平成26年度大会研究発表要旨集p.32(2014)
著者
野村 希代子 戸松 美紀子 杉山 寿美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.213-220, 2020 (Released:2020-04-23)
参考文献数
29

我が国の食事は, 白飯, みそ汁, おかずを交互に食べる食事様式である. 本研究では, みそ汁に, 白飯, あるいは白飯と塩分濃度の異なるおかずを組み合わせ, みそ汁の食べ始めと食べ終わりの塩味の強さ, 好ましさについて検討した. その結果, 食べ終わりは食べ始めよりも, みそ汁の塩味を弱いと感じる組み合わせがあり, 同じ塩分濃度のおかずでも, 種類により影響が異なることが示された. 一方, みそ汁の塩味の好ましさは, 白飯とおかずを組み合わせた場合の食べ終わりと, 食べ始めとの間に有意な差は認められず, 弱く感じさせたみそ汁の塩味をおかずの塩味が補い, みそ汁の好ましさが維持されていた. また, 組み合わせるおかずが同じ場合では, みそ汁の塩味の好ましさに, 0.6%と0.8%のみそ汁の間に有意な差は認められず, 「塩味が薄くてもおいしい食事」は, みそ汁では0.6%で可能であることが示唆された.