著者
柴田 眞理子 尾島 俊之 阿相 栄子 中村 好一 岡井 崇 戸田 律子 北井 啓勝 林 公一 三砂 ちづる
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.374-383, 2005-07
参考文献数
14
被引用文献数
1

妊娠, 出産における医療, 助産に関して, 実施したほうがよいか否か, 議論のある20項目について, 助産師の考え方や実態を明らかにすることを目的として, 日本助産学会, 日本母性衛生学会の名簿から無作為抽出した1, 807人を対象に自記式郵送調査を行った。その結果, 実施に賛成で重要性も高い事項は, 授乳時間を定めない, 塩分制限, 産婦の希望による分娩時の体位決定であり, 低い事項はルーチンな会陰切開, 会陰縫合を通常の縫合よりも1針多めに行う, 入院時洗腸などであった。80%以上の症例での実施割合が高い事項は, 砕石位での分娩, 分娩第2期に仰臥位にする, 授乳時間を定めない, 点滴をするであった。実施時の考慮事項では, 妊産婦や児の身体状況, 施設の方針, 妊産婦の希望の順であった。今後の方針をみると, 母乳育児や分娩体位などでは, 積極的に進めていくや減らしていきたいを支持し, 薬剤使用, 医療処置などでは, 現状維持を支持していた。以上から, 妊娠, 出産における医療, 助産の実践に関しては, 助産師の立場からのエビデンスの蓄積と, それに基づいた適切な実施を検討していくことの必要性が示唆された。